振り上げた拳は、やはり下ろせないということか。自民、公明両党が菅内閣の不信任決議案をきょうにも提出する方向で最終調整に入った。 東日本大震災からの復旧・復興は緒に就いたばかりだ。否、過酷な避難生活が続く被災地では、そのスタートラインにさえ立てていない。医療や福祉の手が届かず、いまだ生命の危機にさらされている人も多いのだ。 このタイミングでの不信任案が妥当なのかどうか。伝家の宝刀は、抜けば被災者を混乱に陥れかねないもろ刃の剣である。国民不在の政争劇にしないためにも、何より被災地の声に耳を傾けるべきだ。 「野党の最大の武器である不信任案は、必ず出さなければならない」。自民党の谷垣禎一総裁は不信任案の今国会提出を明言している。 政権と対峙(たいじ)し、不始末があれば厳しく駄目だしする。半世紀にわたって政権を担った党だ。いつでも取って代わる用意はあろう。 ただ、解せないのは倒閣に前のめり