2015年11月、喉の痛みと発熱によって「私」は床に伏していた。「またいつものやつだろう」と思いながら。しかし……。働き盛りの作家を襲ったがん、その闘病記をほぼ同時進行でつづる新連載スタート 2015年11月下旬のこと。 私はいつものごとく、喉の痛みと発熱によって床に伏していた。 いつものごとくというのも、昔から扁桃腺炎もちの私は、数ヵ月に一度は扁桃腺を腫らして寝込むのが通例だったからだ。 今回喉が痛くなって熱が出た時も、阿佐ヶ谷あたりに住んでいる親戚がちょっと遊びにやって来た程度の感覚でしかなかったわけである。 高校一年になる息子を捕まえて、「おい、ちょっと喉の様子を見てくれ」と口を大きく開けて見せると、私の喉を覗き込んだ息子が顔をしかめた。 「うわっ。扁桃腺の片側がものすごく腫れてるよ。すぐ病院行った方がいいって」 調子に乗った私が今度は妻を捕まえて扁桃腺を自慢して見せると、妻も一目見
![働き盛りのがん闘病記(1)~「まさか、このオレががん?」(朱郷 慶彦) @gendai_biz](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/c733a8ecf86717ba53aa7c143cd45e78fefdbfb2/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fgendai-m.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F7%2F8%2F1200m%2Fimg_7825cee797c0dddee9b98ec3477e9ab335115.jpg)