国際関係論では「危険」を「リスク(risk)」と「デインジャー(danger)」に使い分ける。リスクというのは「マネージ」したり、「コントロール」したり、「ヘッジ」したりできる危険のことである。デインジャーというのは、そういう手立てがまったく効かない種類の危険のことである。思想家の内田樹氏は原発事故対応においてもこの2つを使い分けるべきと指摘する。 * * * 原発事故はデインジャーである。いつ、どういう様態で起きて、どのような被害をもたらすかについて予測が立たない。それについて備えをするというのは、事故が起きたときにどうやって人命を守るかという「対症的」措置のことである。 住民の避難経路を確保し、収容施設を設置し、事故対策のための施設や機材を全原発に配備しておくということ、それができる最大限である(それでもデインジャーには対応できない)。「予防できる」危険はデインジャーとは呼ばない。 原