ヴィンチェンゾ・ナタリ監督の短編映画『ELEVATED エレヴェイテッド』(1997年)の感想です。前回の『スプライス』感想記事のオマケ的な位置づけですが、この記事単体でも読めるようになっています。 ネタバレがありますので、ご注意ください。 ◯ふたつの「常識」の衝突 約20分の短編『エレヴェイテッド』は、ナタリ監督の長編デビュー作『キューブ』の原型と位置づけられることが多いようで*1、たしかに両作にはいくつかの共通点があります。 (ほぼ)ワンシチュエーション・ワンセットものであること。「名前」が重要な要素として扱われていること(これはナタリ監督の全作品に共通)。閉鎖空間(エレベーター / キューブという「箱」)に閉じ込められた登場人物たちの心理劇としての側面をもつこと。 でも、大きく異なる点もあって、それは『キューブ』では描かれなかった「閉鎖空間の ”外側”」が『エレヴェイテッド』では描か
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