龍宮 スポンサード リンク ・龍宮 「小さな曾祖母。人間界になじめなかった蛸。男の家から海へと帰る海馬。台所の荒神さま。遠いカミの世から訪れたものとの交情を描く傑作短篇集。 」 怪しいものを題材にする別の女性作家として宮部みゆきもよく読む。基本はミステリ作家だけれども、「本所深川ふしぎ草紙」、「あやし」、「かまいたち 」のような時代物短編集で奇談怪談をあつかう。宮部作品の場合には、幽霊の正体見たり枯れ尾花といった体であって、不思議について、大抵は現実のからくりが明かされる。悪意や憎しみ。これら宮部作品では人の心に棲む鬼のようなものこそ怖いのである。 これに対してこの川上作品の魑魅魍魎には、タネも仕掛けもない。常世や黄泉の国から現し世にまぎれこんでしまった異形のものたちが、素のままうごめいている。それらは民話や伝承にモチーフを借りつつも、独自の奇想世界へ落とし込んでおり、古典ペダンチックな嫌