匿名データについて,個体識別が可能か否かの判定は定義に関わる.しかしこの判定は明確に定式化されていないため,改善のための議論がかみ合わない.従って本論文は,個体識別可能性の判定方式を定量評価に基づいて明確化する.このような判定方式に関する既存研究は存在するが,個体識別可能性の測度について閾値を定める理論が欠けている.この点について本論文では,個体識別が起きていないという観測可能な事実に基づいて統計的に閾値を推定する.このような実証的態度により,匿名データ制度を根拠に基づいて継続的に改善することが出来る.実際に本論文では個体識別可能性審査の改善を提案する.