彼女に驚かされた。昨年の晩夏、デビューアルバム『STRUTTIN’』の完成度に…。音に心があり、練れている。若いのに完全にスタンダードジャズしていた。 ライブを見る機会があった。昨年の暮れ、思わず聴き入ってしまった。その奏法は優しく、柔らかく、それでいて力強さが底流にあった。“美人サックスプレーヤー”というレッテルなどいらない。 「お世話になります…」。礼儀正しく頭を下げた。白をベースに紺の花模様のあるワンピース姿でインタビューに現れた。さりげない化粧を施した大人の22歳、清楚な装いは習い事帰りのお嬢さん風である。 「ジャズは父の影響かな…。で、その魅力にとりつかれて、これで生きようって」。どうしてアルトサックス? 「音…。一言で“音の魅力”ですね。音色に惹かれたんです。高校時代、最初(チャーリー)パーカーを聴いて、音もさることながら、この人、格好いいって…。視覚的な要素もありましたね」