身の回りにあった電球が,LEDに置き換わりつつある。白熱球に比べて発光効率が高く,熱くならず,低消費電力で,長寿命だ。スマートフォンなど携帯情報端末のバックライトにも,しばしば白色LEDが使われている。 こんな風にLEDを広範に利用することを可能にしたのが,青い光を発する青色LEDだ。青色LEDの光を蛍光体に当てたり,赤色,緑色のLEDの光と混ぜたりすると,白色光が作れる。 今年のノーベル物理学賞は,高効率な青色LEDを実現した名城大学の赤崎勇教授・名古屋大学の天野浩教授の共同研究チーム(当時はともに名古屋大)と,米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授(当時は日亜化学工業)に授与される。 赤崎氏は1974年,当時所属していた松下電器産業で,物理的な特性から窒化ガリウムが青色LEDの材料として有望と見て研究を始めた。発光素子にするためには,均一な単結晶を作り,半導体にする必要があ