木材と言えば、建築材。あるいは家具などが大半を占める用途……そんなイメージを持っている人は多いだろう。 実際はパルプ・チップ用材、つまり紙の原料になる分も多いし、世界的には薪など燃料利用も馬鹿にならない。 だが、最近は木材加工の技術の進歩も相まって、さまざまな新たな木材の利用法が提案されている。 そのなかで、もっとも単純で、しかし斬新な利用法を紹介しよう。 それは、食べることだ。木材を食べ物にしようというのである。 樹木の中でも若芽やゴボウのような根っこ部分を食すことは、日本人には珍しいことではない。根の中にはデンプンを溜め込む性質のものもあり、十分食べ物になってきた。 しかし、ここでいう「食べる木材」というのは、あくまで木材、つまり木繊維である。 木繊維の成分は主にセルロースとリグニンだが、これは人間には消化できない物質だ。消化酵素を持っていないからである。草食動物やシロアリのように体内