●美術的フィギュア、オタク的フィギュア 森川――「秋葉原的」なものである「フィギュア」をテーマにして作品を作っている村上隆さんについてはどうお考えですか? 中村――フィギュアを作品にしたのは村上君が最初ではないんです。中原浩大という関西の作家が最初で、村上君はそれを真似たんです。当時は美術の動向にシミュレーショニズムがあったりして、村上君は作品にそれを導入したわけです。今、中原浩大は、どう思っているのでしょうね? ただ、私たちの世代はフィギュアに限った話ではありませんが、僕らはものをつくるとき、どこかである種の趣味性を通って、アート、もしくは専門的なものへと繋げていきます。誰しもプラモデルを経験し、ウルトラマンや仮面ライダーなどを見ながら大きくなってきたわけです。ヤノベケンジは中原浩大がフィギュアをつくっているんだから、自分も趣味的な感覚を持って作品をつくってもいいんだという勇気をえたわけ