両方になる (Shinchosha CREST BOOKS) 作者: アリ・スミス,木原善彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2018/09/27メディア: 単行本この商品を含むブログを見る『両方になる』はスコットランド生まれのアリ・スミスによる長編七作目になる。邦訳としては2003年に『ホテルワールド』が出た他、岸本佐知子編の『変愛小説集』などいくつかの短編が訳されているばかりで、あまり日本で知られている作家ではないだろう。僕も今回はじめて読んだのだけれども、これがまあおもしろい。 じっと見つめて細部を観れば観るほど複雑なストーリーが脳内に練り上がってくる一つの絵画を鑑賞しているようなおもしろさがあり、どちらも同じく「第一部」からなる物語はどちらから読むかで物語に対する印象を大きく変えるだろう。実際、この『両方になる』は原書の販売方法も特殊で、同じ書名ながらもバージョン違いの本が二冊売