──フランスの富は奴隷制によってどれくらい増えたのですか。奴隷制が資本主義の到来に果たした役割を教えてください。 18世紀末、奴隷制が敷かれていた仏領・英領の島々から本国に向けて相当のお金の流れがありました。 おおよその見積りでは、ベル・エポックの頃(19世紀末〜20世紀初頭)、フランスとイギリスの有産者が保有する国際金融資産と同じくらいの規模のお金が流れ込んでいたと言えます。それは国民所得の5~10%でした。 ただ、そのように直接入ってくるお金よりも注目すべきことがあります。それは植民地主義があったから、環境の制約から解き放たれ、産業革命を起こせたことです。 とりわけ重要だったのがプランテーションで生産された木材、砂糖、そして何よりも綿を輸入できたことです。 1800~1860年、アメリカの南部では奴隷の数が100万人から400万人に増え、綿の生産量が10倍になりました。それがヨーロッパ