「萌え」や「オタク」がカジュアル化してきている昨今はいざ知らず、数年前までのオタク界隈は、“コミュニケーションの不得手な人間のシェルター”“リア充に曝されない安全地帯”としてもそれなりに機能していた。とりわけ、オタクバッシングが根強く、コミュニケーションに長けた人間がオタク界隈に流入すること自体が稀だった1990年代〜2003年頃までのオタク界隈は、外部からの風当たりは強くとも、いったん内輪に入ってしまえば快適な時間を過ごしやすかった。 けれどもそれだけではなく、ひょっとしたら、“ママのお人形”になってしまいそうな人にとって、母親の重力圏から一定の距離を保って伸び伸びとしていられる、数少ない安全地帯としても機能していたのでは?という風に最近は考えるようになった。つまり、同年代のスクールカーストからの安全地帯としてだけでなく、親世代の重力圏からの安全地帯としても、オタク界隈はある程度の役割を