母によって、無残にも落書きされた娘の結婚写真。認知症で娘が自分のお金を盗ったという妄想に取りつかれた母は、あの手この手で娘を追い詰める(撮影/写真部・山本正樹)この記事の写真をすべて見る 自分の子どもに対して支配や虐待、そして依存する「毒親」の存在。子どもは成長して自立しても、親が要介護になったとき、再び苦しめられることになる。 しんしんと雪の降る日の未明、けたたましいインターホンの音が鳴り、販売職の美智子さん(仮名、54)は跳び起きた。玄関ドアを開けてみると、風呂敷包みの中に、美智子さんの結婚写真が。写真は、「ドロボ女ブタ」「バカヤロ」などの罵りの言葉とともに、顔が黒く塗りつぶされていた。震える文字は、母(82)の手蹟だ。これを届けるためにわざわざタクシーに乗って来たのか。母の悪意を感じ、ぶるぶると手が震えた。 レビー小体型認知症で「要介護1」の母は、美智子さんの自宅から車で10分ほど離