「必殺」シリーズ特別番組のナレーションで仕事に復帰したころの藤田まことさん=大阪市北区、2010年1月撮影 「わたしは必殺仕事人。中村主水と申します」「あたり前田のクラッカー」――。時代劇の必殺シリーズやテレビコマーシャルの名ぜりふなどでお茶の間の人気者だった俳優の藤田まことさんが亡くなった。昨秋に病に倒れて休養に入り、ようやく復帰したばかりだった。 藤田さん主演の必殺シリーズは30年以上続く。監督を務めた演出家の松本明さん(76)は藤田さんと自宅が近く、五十数年の付き合いがあった。昨春、京都の撮影所で会った時は「昔の必殺シリーズのメンバーで仕事がやりたいね」と語り合ったという。「すでに走るのはつらい様子で、精神力で仕事をしていた。弱みを決して見せなかった」と振り返る。 「台本に納得しないと、『こう直していいですか』と切り込み、とことん仕事をしていた。最近は病気と闘いながらの仕事だっ