ソニーが、発火などの不具合を起こしたものと同一タイプのノート型パソコン用の充電池(リチウムイオン電池)を全面回収すると発表したのは、事態を早期に収拾しなければ、世界中のパソコン利用者に不安を与え、ブランドに決定的な傷がつきかねないとの危機感からだ。(経済部 下宮崇、松原知基) しかし、ソニーは、問題の充電池を搭載している自社製パソコンですら、どの機種が不具合のある電池を搭載しているか情報を公開しておらず、対応の遅れが目立つ。巨額のリコール負担も重なり、経営再建の途上にあるソニーの経営にとって大きな打撃となりそうだ。 対応に消極的 8月に最初の不具合が発覚して以降、ソニーの対応はあまりにお粗末だった。 8月14日に米デル製パソコンの発火事故が発覚すると、ソニーは「製造中に充電池に混入した微細な金属粒子と、デル独自の充電回路の組み合わせが原因だ」と説明し、トラブルはデル製にとどまるとしていた。