9日朝刊3面【総合2】 東京電力福島第1原子力発電所事故を検証する国会の事故調査委員会(黒川清委員長)は8日、清水正孝東電前社長を公開で聴取した。原発からの全面撤退を申し出たとされる問題で、清水氏は改めて否定した。東電と官邸との意思疎通不足が官邸の不信と過剰な介入を招いたと事故調は指摘。国と事業者がもたれ合う中で、危機管理体制をあいまいにしてきたツケが浮き彫りになった。 福島第1原発では昨年3月14日、3号機が水素爆発し、2号機も爆発の危険が高まった。清水氏は海江田万里元経済産業相らに電話して作業員を退避させる意向を伝え、全面撤退と受け止めた菅直人前首相は東電本店に乗り込み「撤退はありえない」と発言した。これについて清水氏は「全員が離れることは考えていなかった」と反論した。 事故調は吉田昌郎前所長にも聴取し、東電は全面撤退を考えていなかったと判断。「官邸への伝え方が最大の問題」として、清水