２２日朝刊１面 自民党は21日、衆院選の政権公約を発表した。環太平洋経済連携協定（ＴＰＰ）交渉への参加について「聖域なき関税撤廃を前提にする限り反対」と明記。安倍晋三総裁は記者会見で「前提条件を突破でき、国益が守られれば交渉していくのは当然だ」と述べ、政権に復帰すれば条件次第で認める考えを示した。 安倍総裁は「私たちの政権公約を貫くのは『できることしか書かない』ということだ」と表明。円高・デフレからの脱却や、成長戦略を重視する考えを示し「政権を失う以前の自民党とは次元の違う金融緩和政策を実行していく」と強調した。公約は金融政策に関して「日銀法の改正も視野に、政府・日銀の連携強化の仕組みをつくり、大胆な金融緩和を行う」と明記した。 安倍氏は会見で、金融緩和をめぐる自らの最近の発言の真意に関して「日銀が建設国債を『買いオペ』で市場から買っていく。じかに買うと言っていない」と説明した。 ＜自民の

１６日朝刊１面 野田佳彦首相は16日夕、衆院解散に踏み切る。首相が解散の条件に挙げた３課題のうち、今年度予算の執行に欠かせない赤字国債発行法案と「１票の格差」是正のため衆院小選挙区を「０増５減」する法案は15日に衆院を通過し、16日に参院で成立する。一方、首相の14日の解散表明後に離党の意向を示した民主党の衆院議員は７人になり、与党会派は衆院の過半数を事実上割り込んだ。 解散３条件のうち残る社会保障制度改革国民会議を巡っては、民主、自民、公明３党が15日、国会内で開いた実務者協議で、月内に同会議を設置する方向で合意した。自公両党が16日に委員の推薦名簿を提示し、政府が近く決定する。 首相が求める衆院の本格的な定数削減は、民自公３党が来年の通常国会での実現を約束する合意文書を詰めている。 民主党は動揺が収まらない。若手の初鹿明博衆院議員は15日、離党を決めた。山田正彦元農相も離党を表明し、新

２２日朝刊２面【総合・政治】 前原誠司国家戦略相は21日、野田佳彦首相が自民、公明両党に約束した「近いうち」の衆院解散について「年明けは近いうちではない」と述べ、懸案にメドがつけば首相は年内解散に踏み切るとの見通しを示した。ただ民主党幹部からすぐに発言を疑問視する声が上がるなど党内の見解は割れている。自民、公明両党は解散の確約がなければ、29日召集予定の臨時国会で冒頭からの審議拒否も辞さない構えだ。 前原氏は21日、都内で記者団に「首相は解散時期を明示してレームダックになり、やるべきことができなくなることを心配している」と語った。 赤字国債発行法案と衆院小選挙区の「１票の格差」是正のための関連法案の成立、社会保障制度改革国民会議の設置という首相が示した３条件が満たされれば「自公の主張と同じようなところに落ち着く」と言及。さらに「首相は言葉に責任を持ち信義を守る方だ」と強調した。 首相は19

２１日朝刊３５面【社会２】 パソコン遠隔操作事件で、神奈川県警は20日、横浜市のウェブサイトに小学校襲撃予告を送ったとして逮捕し、保護観察処分を受けた少年（19）と両親に誤認逮捕を認め、「多大な迷惑をおかけした」と謝罪した。 横浜地検も県警の直後に少年宅を訪れ、山口幹生刑事部長が謝罪。地検は近く、少年の処分取り消しを家裁に求める見通し。 県警によると、事件を担当した保土ケ谷署の福井隆署長ら４人が20日午後、少年の実家を訪問。約30分にわたって謝罪するとともに真犯人の捜査を尽くすことなども説明した。 少年や両親からは捜査のあり方に関する要望があったが、本人らの意向で詳細は明らかにできないとした。 一方、県警は少年の誤認逮捕について「不適切な取り調べなどがあった可能性も含めて検証している」とコメント。県警によると、少年は逮捕前後に計３通の上申書を提出しており、このうち逮捕後の１通は襲撃予告メー

１３日朝刊６面【国際１】韓国毎日経済新聞 現在は「Ｇゼロ」の時代だという。米国と中国が21世紀の覇権を争う２人の巨人なら「Ｇ２時代」というべきだが、米中はすべての難題に取り組もうとはしないだろう。財政危機に苦しむ欧州や、常に閉鎖的な日本に期待できないのはいうまでもない。 アジアでは、今後「強国」がどんどん増えるだろう。中国やインドはもちろん、人口の多いインドネシアや潜在成長力が大きいベトナム、フィリピンも強くなりそうだ。 中国はイデオロギーで団結を保つのが難しくなり、民族主義で統合しようとしている。日本の尖閣諸島支配を妨げようとするさまを見ても、「中華民族主義」は手が付けられない。日本の極右勢力も民族主義をあおっている。 こうした（周辺地域の）環境は、我々に二重三重のジレンマを抱かせる。（韓国は）大陸と海洋の勢力がぶつかる所に存在する以上、独りきりで生きていくのは時を追って難しくなる。冷戦

９日朝刊２面【総合】社説１ 本命中の本命と目されていた科学者の受賞である。今年のノーベル生理学・医学賞を、あらゆる細胞に成長するｉＰＳ細胞を世界で初めてつくった山中伸弥京都大学教授が、英国人の研究者と一緒に受賞することが決まった。 日本人の生理学・医学賞受賞は1987年の利根川進氏以来、25年ぶり２人目になる。東日本大震災や原子力発電所の事故で国内では科学技術への信頼が揺らいでいるだけに、山中教授の受賞は日本の科学界や国民全体に勇気と元気を与えるものになるだろう。（中略） 一方で、心配なこともある。ｉＰＳ細胞は日本で生まれ、官民挙げて臨床応用を支援してきたが、現在、再生医療でトップを走るのは米国勢とされる。日本ではヒトの細胞を使う研究の規制が欧米より厳しいことが一因だ。 今回の受賞決定に浮かれるのではなく、安全面や倫理上の問題を克服し、臨床研究に早く取り組める研究指針づくりや、産学官の協力

８日朝刊４面【オピニオン】核心 客員コラムニスト 岡部直明 尖閣諸島をめぐる日中間の緊張は、減速する世界経済の大きなリスクである。第２、第３の経済大国どうしの冷却が長引けば、リーマン・ショック、ユーロ危機に続く「世界経済危機３」を招きかねない。日中は偏狭なナショナリズム（国家主義）を超えて、悪循環を防ぐ共同責任を担っている。 野田佳彦内閣による「尖閣国有化」決定のさなかに中国・天津市で開いた世界経済フォーラムの夏季ダボス会議は、まるで腫れ物にさわるかのようにこの問題を避けた。会場の隅の方から聞こえる「なぜいまになって」という声が事態の深刻さを物語っていた。 温家宝中国首相は講演で、この10年で６位から２位になった中国経済の成功物語を披露し、成長減速にも「中国には財政、金融政策を発動する余地がある」とあくまで強気だった。 しかし、一部参加者との会見ではユーロの行方に危機感をのぞかせた。驚いた

５日朝刊１面 大手損害保険各社が中国での暴動被害を補償する保険の新規契約を中止したことがわかった。９月の反日デモで日本企業の商業施設や工場が従来の想定を超える被害を受け、保険金の支払いリスクが増している。損保各社は今後契約更新を迎える企業も含めて保険料の引き上げを検討する。新たに進出する企業が当面、暴動に対し「無保険状態」となるため、日系企業に影響が及びそうだ。 通常の企業向け損害保険では暴動による被害は補償の対象外だが、「ＳＲＣＣ（ストライキ危険）」と呼ばれる特約に入ると暴動やストライキによる物的損害や、工場や店舗の休業で失った利益の補償を受けられる。大手損保各社は中国の日系企業向けに販売する損害保険の大半にこの特約を付けているという。 帝国データバンクによると、中国に進出している日本企業は８月末時点で１万4394社。近年は年間約2000社が新たに進出しており、大半の企業は施設や設備にＳ

４日朝刊４面【政治】 大阪市の橋下徹市長が結党した「日本維新の会」が３日、国会議員による両院議員総会を開き、国政活動を始めた。橋下氏が大阪から国政対応を指揮し、国会議員が「実行部隊」となる異例の体制だが、早くも橋下氏と国会議員団の間に不協和音が聞こえる。国政進出に伴い期待感が一服した印象もあり、次期衆院選まで期待をどうつなぐかが課題になりそうだ。 ３日の総会には設立時の７人に加え、新たに２人の国会議員が参加。国会議員団代表に民主党出身の松野頼久元官房副長官を選び、同幹事長には自民党出身の松浪健太氏、同政調会長にはみんなの党出身の桜内文城氏を内定した。国会議員団の目的を「『日本維新の会』が掲げる政策の実現をはかる」と明記した国会議員団規約も決めた。 国会議員団は維新が掲げる「維新八策」を実現するためのいわば「出先機関」。松野氏は記者会見で「国会のことは議員団で決めていく」と話したが政策や国会

１日朝刊２面【総合・政治】 野田佳彦首相が１日に断行する内閣改造は、ベテラン議員を多く起用し安定を重視した布陣となる。首相は30日、公邸に民主党幹部を集めて事実上の「組閣本部」を立ち上げ、調整は異例の８時間余りに及んだ。離党者が相次ぐ現状を踏まえ、党内融和に向けて副大臣・政務官や衆参両院の委員長人事も一体で検討したとみられる。 首相は30日午前10時からまず輿石東幹事長と２人だけで約３時間協議。昼すぎに藤村修官房長官や民主党の安住淳幹事長代行らが加わり、会合は午後６時すぎまで続いた。席上、輿石氏が所属議員に電話する場面もあった。関係者は「入閣はせず、党で処遇することを伝えた」と明かす。 首相や輿石氏は副大臣・政務官などの人事を離党防止策に活用することもにらむ。離党を探る反野田勢力には「選挙で戦いやすいポストを与えてくれれば離党は再考する」とする議員もいる。 衆院で民主党会派はすでに離党届を

３０日朝刊５面【国際】北京＝大越匡洋 中国は29日、北京の人民大会堂で10月１日の国慶節（建国記念日）を祝う恒例の晩さん会を開いた。温家宝首相は演説で、日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化を念頭に「国家の主権と領土を断固として守る」と強調。名指しは避けつつも記念行事でわざわざ「領土」に触れた。次期指導部を決める共産党大会を控え、国民に向けて現指導部の強硬姿勢を改めてアピールする狙いだ。 晩さん会には胡錦濤国家主席ら現指導部がそろって出席、国内外から約1200人が参加した。中国国歌斉唱後に演説に立った温首相は、日本や尖閣諸島を名指しこそしなかったものの「主権と領土を断固守る」と述べると、会場から拍手が湧き起こった。 温首相は2003年以降、毎年同じ晩さん会で演説している。だが「領土」に触れたのは、台湾との間で摩擦が高まった04年だけ。残りは香港や台湾を含め「中華民族の団結」を訴えるケースが

２７日朝刊２面【総合１】社説１ 自民党総裁に安倍晋三元首相が返り咲いた。ねじれ国会で野党第１党の党首の担う役割は重大であり、衆院選の結果次第で「次の首相」に就くこともある。先々を見通した柔軟かつ幅広い視点で「決める政治」を進めてもらいたい。 「政権党に戻ったみたい」。自民党本部に入ってきた女性参院議員のはしゃぎ声が響いた。総裁選に出馬した５候補の支持議員や応援団でロビーは歩けないほどのにぎわい。「さあ民主党政権打倒だ」。そんなかけ声も聞こえた。 お祭り気分もよいが、その前にやるべきことがある。先の通常国会で赤字国債発行法案が廃案になり、このままでは歳入に穴が開く。歳出抑制が始まっており、国民生活に支障が出かねない。 安倍氏は記者会見で同法案への対応について野田佳彦首相が「近いうち」に衆院を解散するとの約束を守ることが先決との考えを繰り返すにとどまった。 与党時代に賛成していた法案を人質にし

２９日朝刊２面【総合】社説１ 日本と中国が国交を正常化して、きょうで40年だ。日中関係も不惑を迎えたといえようか。だが、残念ながら現状は「惑わず」と評するにはほど遠い。尖閣諸島をめぐってささくれだった関係は、打開の展望さえみえない。 こういう時は原点に立ち返るのも意味があろう。 40年前に田中角栄首相や中国の周恩来首相らが署名した共同声明は、次のようにうたう。 両国の善隣友好関係は「両国国民の利益に合致」し「アジアにおける緊張緩和と世界平和に貢献する」。日中が良好な関係を築くことは、両国の国民のためであり、世界に対する責務でもある。 この40年の経験は、共同声明の精神の正しさを実証している。貿易額はドルベースで300倍以上に膨らんだ。多くの日本企業が中国で雇用を生み、一方で利益を上げてきた。 足元の世界経済は不安材料が絶えない。アジアには北朝鮮の核問題など火種がなお少なくない。無人の小さな

２６日朝刊３面【総合２】北京＝島田学 沖縄県・尖閣諸島と島根県・竹島の領有権をめぐり、中国と韓国が対日圧力で連携する動きを見せ始めた。25日には尖閣諸島周辺に台湾の漁船団が侵入するなど、親日的とされてきた台湾も日本の尖閣国有化への反発をあらわにしている。東シナ海で「日本包囲網」が構築される懸念さえ出てきた。 中国の楊潔●（ち）外相「国家が正しい歴史認識を持っていなければ北東アジアの秩序が影響を受ける」 韓国の金星煥（キム・ソンファン）外交通商相「正しい歴史を国連の舞台で知らせなければならないのではないかという意見は同じだ」 国連総会に出席するために訪れたニューヨークで24日会談した中韓の外相。韓国・聯合ニュースが伝えた発言からは、日本との間で抱える歴史問題での協調を確認したことがうかがえる。 ２年前の2010年に尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件。日中両国はこのときも対立したが、周辺国・地

２３日朝刊３面【総合・経済】 尖閣諸島と竹島を巡る日本と中国・韓国との政治的な対立が、経済分野にも影を落としている。金融面での協力体制の見直しや漁業協定の交渉難航、ひとの行き来にも影響が及んでいる。日本は事務レベルでは領土問題と経済は切り離して対応すべきだとの立場だが、直接、間接の対抗措置の応酬によるせめぎ合いが続いており、解決への糸口は見いだせない。 日韓両政府は18～21日、東京都内で日韓漁業協定の見直しに向けた協議を開いたが、合意には至らなかったもようだ。同協定は1999年に発効し、両国の漁船が双方の排他的経済水域（ＥＥＺ）で操業する際の条件を定めている。 毎年協議して条件を見直しているが、今年は韓国漁船による違法操業が絶えないことから出漁隻数の減枠を求める日本と、現状維持を求める韓国の主張が真っ向から対立。李明博大統領の島根県・竹島（韓国名・独島）上陸による両国の関係悪化も重なり、

９日朝刊２面【総合】社説１ 橋下徹大阪市長が新党「日本維新の会」を結成し、国政に進出すると表明した。それに見合うだけの体制づくりはできているのか。「維新八策」と呼ぶ公約の内容を含め、よく見極めたい。 歯切れよい語り口、政敵をつくり自身の存在感を際立たせる政治手法、ツイッターを通じた有権者との直接対話。橋下氏は2008年の大阪府知事選に勝って以来、カリスマ的な人気を誇ってきた。 大阪府や大阪市の財政再建で一定の成果をあげた。府と市を統合して二重行政を解消したいとの主張も理解できる面がある。通常国会では主要政党が賛同して「大阪都」構想を後押しする大都市地域特別区設置法が成立した。 この流れを加速するため、国会でより強力な発言力を持ちたいというのが国政進出の主眼のようだ。大阪府議や市議らによる地方政党にとどまっていた「大阪維新の会」の全体会合で「国の根っこを変えていく」と宣言した。 問題は「大阪

７日朝刊３面【総合２】編集委員　滝順一 民主党は６日、「原発ゼロ社会」を目指す方針を決めた。原発の40年寿命を厳格に適用し、新設・増設をしないことで「2030年代に原発稼働をゼロとするよう、あらゆる政策資源を投入する」と宣言した。 すべての原発が運転を止める時期については「30年代に」と幅を持たせた。また運転を止めてもすぐに廃炉にはせず、いわば原子炉を眠らせておく選択へも含みを持たせた。仮に天然ガスの供給途絶などエネルギー危機があれば、原発を再稼働する保険的な狙いがあると受け取れる。 すぐにでも原発ゼロを求める声と、エネルギー安全保障の観点などから原発の維持を訴える意見との間で何とか折り合いを付けた苦肉の言い回しともいえる。 理由はどうであれ、政権与党として大局を見失った無責任な決定と言わざるを得ない。日本は半世紀以上、原子力を準国産のエネルギーとして利用する政策を掲げてきた。それを百八十

３０日朝刊１面 内閣府の有識者検討会は29日、駿河湾から日向灘の「南海トラフ」を震源域とするマグニチュード（Ｍ）9.1の最大級の地震が起きた場合、最大32万３千人が死亡し、238万６千棟が全壊・焼失するとの被害想定を公表した。津波からの迅速な避難や建物耐震化で、最悪ケースの死者は６万１千人に減らせると内閣府は説明。「減災」対策を進めるよう呼びかけている。 死者は関東から九州・沖縄の30都府県で想定され、政府は最悪の事態への備えを強化するための特別法を制定する考え。中川正春防災担当相は29日の記者会見で「来年の通常国会までに法案を提出したい」と述べた。 内閣府は３月に示した想定津波高と震度を詳しく再計算した結果も公表した。津波が最大高さ20メートルに達するのは８都県の23市町村。静岡県下田市は前回より７メートル高い33メートル、中部電力浜岡原子力発電所（静岡県御前崎市）付近は21メートルから

２０日朝刊３５面【社会２】 沖縄県尖閣諸島の魚釣島に日本の地方議員ら10人が19日、上陸した。東京都荒川区議は「国民に領土を守る姿勢を示した」と胸を張ったが、地元の同県石垣市民からは問題がエスカレートしかねないと不安がる声も出た。 「無我夢中だった。日本の領土だと示すのが重要だと思った」。小坂英二荒川区議（39）は、石垣島に戻った後、取材に応じた。約10メートルまで船で島に近づき、作業着にライフジャケットをつけて飛び込んだ。上陸後、持ち込んだ日の丸を岩場に固定するなどして、約２時間滞在した。 10人の先頭を切って上陸した保守系団体幹事長の水島総氏（63）は、記者会見で「計画的ではない」と説明。沖縄県警は上陸した議員らに軽犯罪法違反容疑で事情を聴く方針だが、水島氏は「違法行為はしていない。やるべきことをやった」と主張した。 尖閣を行政区域に持つ石垣市民の受け止めはさまざまだ。漁師の比嘉康雅さ

１７日朝刊１面 政府は17日、香港の活動家らが沖縄県石垣市の尖閣諸島に上陸した事件に関する関係閣僚会議などで、入管難民法違反容疑で逮捕した男14人全員を送検せずに強制送還することを決定する。野田佳彦首相らの関与を明確にしたうえで、早期収拾を図る姿勢を打ち出す。決定後、同日中に送還する方針だ。 沖縄県警と海上保安庁の第11管区海上保安本部は16日夜、逮捕した男14人を入管当局に引き渡す手続きを始めた。 海保と県警は検察当局と協議した結果、不法入国以外の犯罪容疑はないと判断し、那覇地検に送検しないことを決めた。14人のうち９人を乗せた海保の巡視船は16日午後10時過ぎ、那覇港に到着。海保はまもなく９人の身柄を福岡入国管理局那覇支局に引き渡した。残る５人についても県警が17日、同支局に身柄を引き渡す。 活動家らは12日に香港を船で出発。15日午後、尖閣諸島の魚釣島に７人が上陸し、うち２人は船に戻