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ブックマーク / www.d9.dion.ne.jp/~rojuku (1)

  • 最下層の環流点1

    底辺下層に組み込まれた労働者がたどる最下層の還流点 その1 笠井和明 はじめに、 「子どもの頃、夏になると、川のそばでは必ず息をとめていた。橋を渡り、鉄橋の下を潜って行く都電に乗っていても、同じことだった。川の悪臭は子どもの眼さえ刺激して涙を流させた。プラットフォームから見て橋の右側は、土地がせり上がり、緑の濃い崖になっている。その崖下に街のゴミを集め、船で運び出す基地があった。野菜や魚や貝が、いつもそこで腐って、溶け合っていた。動力もついていない平たい船は腐ったゴミを川の水にこぼしながら、二つも三つも連なって、タグ・ボートに引かれ下流に静かに下っていった。洗濯物を腐臭のなかに並べてひるがえしているバラックも、川岸に並んでいた。そのバラックのまわりで、子どもが遊んでいた。船に乗っている子どもを見かけたこともあった。ゴミの船ではなく、やはり洗濯物を旗のようにひるがえしている船だった。」(津島

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