中国は日本の「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)構想」をどう見ているのか?―セキュリティ・ディレンマの観点から 山﨑周 国際政治学、中国の外交・安全保障政策 国際 #安全保障をみるプリズム 日本政府が推進する自由で開かれた「インド太平洋(FOIP)構想」は、将来のインド太平洋の地域秩序を日本の主導によって築こうとする中長期的な試みである。FOIPは、経済成長の高まりが見込まれるアジアとアフリカ大陸の結びつきを深めるために太平洋とインド洋を1つの地域として連結し、かつ法の支配や航行の自由といった価値の定着を目指している。2013年に中国が一帯一路(BRI)構想を発表して国際的な注目を集めた一方、日本政府は2016年からFOIPを公式に強調するようになった(注1)。 日本政府がFOIPを打ち出した当初の動機は、BRIの提唱によって増した中国の存在感や影響力に対抗することであった。その後、日