様々な業界でお役所が差配する「変なルール」「バカなルール」を指摘する話題の新刊『「規制」を変えれば電気も足りる』(小学館101新書)を上梓した元経産省キャリア官僚の原英史氏(現・政策工房社長)が、電力業界のおかしな規制制度を解説する。 * * * 「脱原発」について、大論争になっている。 「脱原発」がそう易々とできない一因としてよく出てくるのが、「電気料金が高くなる」という議論だ。政府と電力業界の従来の説明によれば、キロワット時あたりの発電コストは、水力11.9円、石油火力10.7円などに対し、原発は5.3円と圧倒的に安い。火力や、さらにはるかに高コストの太陽光などに切り替えたら、電気料金が急増する。そんなことになったら、電気を大量消費する産業は、海外に逃げてしまうというのだ。産業界にはこの論拠で「やはり原発は必要」と主張する人が少なくない。 だが、この主張には2つ問題がある。第一に、「原