夥しい数のコンペに落ち続けてきましたが、未来の糧にできるようなアイディアが貯まっている状態の中で、2000年と2001年に続けてふたつのコンペに勝つことができました。 そのひとつが群馬県の「神流町中里合同庁舎」です。関東地方で(島を除いて)いちばん小さな、人口997人という村の役場の建て替え計画です。役場として建て替えるけれど、早晩合併されて、いずれは役場でなくなる建物です。そこでまず建物の原形を考え、その中をどうやって単純にしておくかを考えました。コンペ案は役場の機能をすべて上階に載せ、それ以外は巨大な空洞にして、その両脇に小さい空間の単位を入れて、それぞれ必要に応じて使えるようにしました。将来、村の人たちから美術館、図書館、劇場、ダンスホール、パーティルームが欲しいという要求があっても、それをひとつひとつつくっていくことは不可能なので、この建物ですべてがまかなえるようにつくっておくこと