11.「せっかく・・・」センヌキは恨みがましく非難した 所を三年四組に移して、マイクのセッティングやミキシングの調整が行われ、それが終わるとナッパから春休みに実施する最期のクラス合宿の説明があった。彼女は白いブラウスの襟元に細い黒のリボンを飾り、白いニットのベスト、淡いピンクのミニスカート、そして白いハイソックスと、殆どアグネス・チャンの衣装そのものだった。 教室を見渡すと客の入りはパラパラと三十名程度、尤もその内の1/3は出演者とスタッフだったが、どういう訳か女生徒に絶大な人気を誇る「まり子先生」こと米原教員が来ている事が異例と言えば異例だった。 それでもクマやアグリーが充分満足していたのは言うまでもない。昨年12月にほんの思いつきから立ち上げたコンサートが、今まさに始まろうとしているのだ。 クマがミュートしたギターでリズムを刻み、センヌキが歌い始めた。名曲「青い目のジュディ」の最後のリ