菅義偉首相は22日に公開された米NBCテレビのインタビューで、新型コロナウイルス禍における東京オリンピック開催について「困難」だとしながらも、最終的には日本にとって大きな利益になると述べた。「苦難を乗り越え、開催できることは本当に価値のあることだ」とも語った。 また「五輪を中止するのはとても簡単なこ…
銅製で側面に木材が使用された高尾山の山頂に設置された五輪シンボルのモニュメント=東京都八王子市で、小川昌宏撮影 東京オリンピックの開幕まで残り4日と迫った19日、開会式で楽曲を担当するミュージシャンの小山田圭吾氏(52)が辞任した。開幕直前の辞任劇に、大会関係者や有識者、街の人からは厳しい声が聞かれた。 小山田氏の辞任は、3月の演出総合統括者に続き、大会理念に反する言動が原因だった。 東京五輪はビジョンの一つに「多様性と調和」を掲げ、大会関係者は「オリパラ一体」と繰り返してきた。小山田氏が障害者とみられる同級生2人をいじめていたことはこの理念に反する。19日に記者会見した大会組織委員会の中村英正・大会開催統括は、いじめについて触れた過去のインタビューについて「(誰も)そういうことは聞いていなかった」と釈明した。 組織委関係者は「人間として許しがたく辞任は仕方ない。開幕直前までいろいろなこと
静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区で起きた土石流で、現地調査に基づき「人災だ」と見解を公表した地質学者の塩坂邦雄さん(76)は9日、県庁での記者会見で、造成で尾根が削られたことによって雨水の流れ込む範囲(集水域)が変化、盛り土側に雨水が流入した結果、土石流を誘発したと分析した。【山田英之】 塩坂氏は土木学会の特別上級技術者。リニア中央新幹線南アルプストンネル静岡工区の問題を話し合う県中央新幹線環境保全連絡会議の地質構造・水資源専門部会の委員を務めている。 現地調査した印象を塩坂氏は「経験した中で最大の土石流の跡だった。(斜面から)湧き水が相当出ていた」と話した。塩坂氏によると、逢初(あいぞめ)川の集水域は盛り土よりも上流域で約4万平方メートル。「第一印象として、小さな流域で、なぜ土砂が滑り落ちたのかと思った。4万平方メートルに降った雨で滑り落ちるわけがない」と感じたという。
太陽光発電設備の設置が引き起こす景観や自然破壊などの問題が各地で深刻化している。毎日新聞が47都道府県を取材したところ、8割がトラブルを抱えていることが分かった。原子力発電に代わる主力電源として期待されながら、全国で公害化する太陽光発電。何が起きているのか。 ドーム17個分、巨大パネルに覆われた黒い山 「晴れの国」で知られる岡山県。5月下旬、日射条件が良く、白桃が名産の赤磐市に入ると、緩やかな山の斜面に墨を流し込んだように真っ黒な太陽光パネルが広がっていた。 4月、石油元売り大手の出光興産がこの地で大規模太陽光発電所(メガソーラー)の稼働を始めた。東京ドーム17個分に相当する82ヘクタールにパネル32万枚が並ぶ。年間発電量は6500万キロワット時に上り、約1万3000世帯分の電気を生み出す巨大発電所だ。 だが、周辺住民によると、2018年と20年にパネルを設置した斜面から土砂が崩落する事故
第88回日本ダービーを制したシャフリヤール(手前右)。同左は鼻差で2着のエフフォーリア=東京競馬場で2021年5月30日、西夏生撮影 栄光のダービージョッキーまで、あと数センチだった。単勝1番人気で皐月賞との2冠を狙ったエフフォーリアは鼻差の2着。騎乗した横山武史は、戦後最年少優勝騎手と親子ダービー制覇の記録がかかっていたが、わずかに届かなかった。レース後、「人気に応えられず、申し訳ない」と言葉を絞り出した。 好スタートを決め、バックストレートでは先頭から4、5番手につける絶好の展開。最後の直線で集団を抜け出して早々に先頭に立ち、押し切るかに思えた。 しかし、「勝ち馬に(脚の)切れで負けてしまった」と横山武。最後は早めに抜け出して苦しくなったところを、シャフリヤールの強襲に遭った。
毎日新聞の22日の世論調査で、内閣支持率が菅政権発足後最低となる31%に低下したことで、政府・与党に危機感が広がった。新型コロナウイルス対策で効果が出ていないことが原因との見方が強い。秋までに行われる衆院選への影響を懸念している。 自民党の野田聖子幹事長代行は22日、支持率急落について取材に「変異株への恐怖が、ワクチン接種などの対策より勝っているのだと痛感した」と述べた。別の党幹部は「20%台が見えてきたのは、ちょっとまずい」と動揺を隠さず、官邸関係者は「政権としては、ここが踏ん張りどころだ」と強調した。 調査では、菅政権の新型コロナ対策を「評価しない」との回答が7割近くあり、公明党の山口那津男代表も…
東京・池袋で2019年4月、近くの主婦、松永真菜さん(当時31歳)と長女莉子ちゃん(同3歳)が乗用車にはねられ死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)に問われた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(89)は27日、東京地裁(下津健司裁判長)で開かれた被告人質問で「アクセルを踏んでいないのに加速した。視線を落とすと、アクセルペダルが(運転席の)床に張り付いて見えた」…
緊急事態宣言が発令された後、マスクをつけて通勤する人たち=東京都千代田区で2020年4月15日午前8時11分、北山夏帆撮影 「電車の混み具合は、以前と同じだ」と思っている人が多いのではないか。新型コロナウイルスの感染急増が続く東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に25日から緊急事態宣言が発令された。菅義偉首相は23日の記者会見で、出勤者の7割減に向け「テレワークの活用」を要請。しかし、通勤電車の混雑ぶりで実感される通り、テレワーク実施率は低迷している。厚生労働省は3月にテレワークの運用に関するガイドラインを改定して環境の整備に乗り出したものの、「7割」への課題は山積している。 ガイドラインは、労使双方の疑問点に答える形で全面改定された。厚労省は「良質なテレワークを定着させるためのガイドライン」として導入拡大につなげたい考えだ。 「本来は国が示すようなものではない」(厚労省幹部)という人事評価に
選挙制度見直しに関する記者会見で記者の質問に耳を傾ける林鄭月娥行政長官=香港で2021年3月30日、AP 中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は30日、香港の選挙制度見直しに関する議案を全会一致で可決した。香港政府トップの行政長官と立法会(議会)議員の選挙で民主派を徹底排除する内容で、次回の選挙から導入される見通し。中国の習近平指導部による香港への統制強化は区切りを迎え、香港の高度な自治を認めた「1国2制度」は事実上、終わりを告げた形だ。 全人代常務委は30日、2日間の日程を終えた。習指導部は、2019年に香港で政府への抗議デモが激化したことを受け、20年6月に香港国家安全維持法(国安法)を施行。香港の治安維持機能を手中に収め、民主派の活動を徹底的に取り締まった。今回の制度見直しで、当局が愛国者と認めた人物しか選挙に出馬できなくなり、政治も完全に統制下に置いたといえる。
東京オリンピック聖火リレーの初日。聖火リレー隊列の前方でスポンサーグッズを沿道の観覧者に手渡すスタッフ(左)=福島県南相馬市で2021年3月25日午後4時42分、手塚耕一郎撮影 米国内で東京オリンピックの放送権を持つNBCは25日、「リレーの聖火を消すべきだ」と題する寄稿を電子版に掲載した。「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)のさなか、聖火リレーは五輪の虚飾のため、公衆衛生を犠牲にする危険を冒している」とした。 寄稿したのは、米五輪代表にも選ばれたことがある元プロサッカー選手で米パシフィック大のジュールズ・ボイコフ教授(政治学)。 ボイコフ氏は、聖火リレーの出発地に福島を選んだことは「この儀式の偽善や害悪、ばかばかしさを際立たせただけでなく、五輪に向けて突き進む日本の問題の縮図でもある」と主張。「もとは『復興五輪』をうたっていたが、現地の多くの人は復興の遅れを理由に五輪を非難
中国が再生可能エネルギーの導入を急拡大している。2020年に新設された風力発電の設備容量(最大時の発電能力)は前年の2.7倍、太陽光発電も8割増となった。発電設備の規模としては、原発約120基分もの再エネがわずか1年で整備された計算だ。これに対し原発の設備容量の伸びは前年比7割減にとどまった。原発に依存せず、温室効果ガスを削減する構えを見せる中国。エネルギー基本計画の改定を控えた日本はどうする? 「石炭火力の容量が占める割合は初めて50%を下回り、風力発電は過去最高を更新した。風力、太陽光は発電量も急増している」。中国電力企業連合会は、昨年の電力需給動向を引き合いに、再エネの導入拡大に胸を張る。 中国は世界最大の温室効果ガス排出国だが、習近平国家主席は昨年9月の国連総会で、「30年までに二酸化炭素(CO2)排出量を減少に転じさせ、60年までに(CO2排出量を実質ゼロとする)カーボンニュート
同じ地点から焦点距離28ミリの広角レンズで撮影した写真(左)と焦点距離300ミリの望遠レンズで撮影した写真(右)。左は人々の間に空間があるのが分かる。右は圧縮効果で遠近感が弱まり、通行人同士の距離が分かりにくいが、マスクの着用率や表情はよく見える=東京・原宿で2021年1月21日午後2時49分、丸山博撮影 新型コロナウイルス感染拡大後、人混みの写真が報じられるたびに「圧縮効果」という単語が飛び交うようになった。大勢の人を遠くから望遠レンズで撮影すると、近くで撮った時より密集しているように見える効果のことだ。中には「演出」「捏造(ねつぞう)」などの批判もある。写っているものは厳然たる事実だが、同じ被写体でも撮り方で見え方は違ってくる。コロナ禍で人の密集度をどう表現するか、カメラマンの私はいつも悩みながら撮影している。報道写真が伝える事実とは何かを考えたい。【丸山博/統合デジタル取材センター】
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