ぬか漬け容器の中には、遺骨が入っていた。プラスチック製の容器を包んでいた白い風呂敷をほどくと、はがき大のノートを引きちぎった書き置きがあった。 「このおこつをしばらくあずかってほしいのです。子供、姉兄だれも見てくれません。名前はいえません。きっとむかえにいきます」 今年8月に東京都千代田区の葬祭業「富士の華」に引き取られた遺骨をめぐる光景だ。文面や骨の量から推測すると、壮年か高齢者らしい。 東京・埼玉から栃木・群馬を結ぶ東武伊勢崎・日光線の車両内に放置されていたという。いつ、どこで放置されたかは分からない。警察や自治体での管理を経て、最終的に同社に引き取られることになったという。 「『ひどい』という怒りを通り越して、涙が出ます」。同社の佐藤誠統括本部長はため息をつく。 「『あずかってほしい』と書いても、電車に放置したのでは、どこに届くか分からないじゃないですか。費用の心配はいらないから、ぜ