戦前の日本では、内務省があらゆる出版物の検閲を行っていました。検閲にあたっては、「安寧秩序紊乱」と「風俗壊乱」という二つの大きな柱があり、それぞれに検閲の基準が設けられていました。この基準は曖昧さを含んだものであり、実務レベルではこれに拠りながらも、出版物の目的や読者層、その時機の社会情勢なども考慮しながら、検閲官が一冊一冊判断していました。 この展示では、検閲の基準と、さまざまな要因によって判断が揺れ動いた事例をパネルで紹介します。また、千代田図書館蔵「内務省委託本」をはじめとする検閲の実態を窺うことができる貴重な本や資料を展示します。