当センターの技術ガバナンス研究ユニットの活動にも参加していただいており、国際法・海洋法がご専門の西本先生より、以下の文章を寄稿いただきました。 要旨 東京大学海洋アライアンス 海洋政策学ユニット 東京大学公共政策大学院 海洋政策教育・研究ユニット 特任講師 西本健太郎 福島第一原子力発電所からの汚染水の放出措置をめぐっては、国際法上の問題がある可能性が報じられてきたが、国際的な海洋法秩序の枠組みをなす国連海洋法条約には、今回の事態に直接対応するような規定は用意されていない。今回の汚染水の放出措置をめぐる報道等においては、ロンドン海洋投棄条約の名前が登場しているが、同条約にいう「投棄」とは船舶等から廃棄物を海洋へ処分することと定義されており、陸上から汚染水の放出を行った今回の事態は同条約の適用範囲外である。海洋汚染に関する国際法においては、汚染の発生源ごとに異なった規制がなされているが、船舶