インペアメントという言葉の場合は、身体的障害に力点が置かれるので、精神障害が等閑視されがちにはなるものの、それが意味するのは、「客観的」に存在する身体的・器質的な障害のことである。それに対して、オリバーらの「障害の社会モデル」派が強調するのはディスアビリティだ。その考え方によれば、障害は人間ではなく社会の方に存在する。例えば、車椅子ではのぼれないような段差が道路にあるとすると、その場合に「障害=ディスアビリティ」は段差をのぼれない人間の側にあるのではなく、段差そのもの、そしてその段差を除去しない社会の側にあるということだ。 裏返せば、障害は社会が作り出す、と言うこともできる。道路に段差がなければ車椅子に乗る必要があることは障害ではなくなる。段差が障害を生み出すのだ。 障害の社会モデルは、それまで障害の治癒やリハビリテーションを強調してきた障害学(というよりリハビリテーション学)に対し、社会