毎年毎年、紅白歌合戦は、実に無理のある演出をする。短い時間で、特定のフレーズを無理やり言わせる脚本のために、MCのコメントや、タレントがドラマの台詞を叫ぶシーンだけでなく、芸人のギャグでさえ、すべるすべる。だが、あくまで一年を振り返ることが目的なので、そもそも面白い必要がない。芸人がすべっても、「怪我」にならない番組。それが紅白。 「一年を振り返る国民番組」であるために、趣味や属性の異なる老若男女に向け、まったくジャンルの違う曲を紹介し、アテンションをキープするために派手な衣装を着させ、歌の合間には曲紹介をするだけでなく、その年にブレイクしたタレントや流行語などを紹介し(この間『レッドカーペッド』よりもスピーディな展開である)、事件や故人などに触れ、反戦とか平和とか不況とか、様々な議題が「これって大事よねー」「だよねー」と重ねられていく。実にごちゃごちゃした、整理のつかない出来損ないの夢の