2010/12/177:0 市場を擁護する二〇世紀最大の経済思想家〜フリードリッヒ・フォン・ハイエク 橋本努 昨今、「新自由主義」を批判する言説が目立つ。しかし新自由主義とはいったい何のことだろうか?今回取り上げるのは、新自由主義の祖と呼ばれるフリードリッヒ・ハイエクだ。ファシスト、社会主義者、ケインズらとの論争を経て、いささかも揺るがないハイエクの思想体系は壮大にして独創的、そして魅力的である。まさに20世紀を代表する、思想家の中の思想家といえるだろう。 新自由主義の擁護者として知られるフリードリッヒ・フォン・ハイエク(1899-1992)は、晩年になって日本をとても気に入っていた。ハイエクは伊豆の避暑地で休暇をとったり、京都を訪れたりしている。日本人は、多神教で神道も仏教も信じている。それが寛容でいいのだという。 「ほとんどすべての日本人は、ある面では神道の信者であり、別の面では仏教徒