今週の新着欄です、よろしく。 新着欄 梅雨明け直後、いきなりな熱暑の夜々に読んだせいなのか、 読み手が惚けてきたせいなのか、毎晩、前夜読んだ箇所を ひっくり返し、扉裏の登場人物表に幾度となく目を走らせ、 つっかえつっかえ、裏表紙の解説によれば <遺産をめぐる殺人事件をしゃれた会話と軽快なタッチで 描く快心作!>である筈のフレンチ・ミステリを読み終える。 (しかし、この後読んだエリス・ピーターズ「死と陽気な女」は、 冒頭・第一章のうつくしさ・切なさに、大層感激して読んでいたの だから、相性の問題なのかも。) 弁護士と間違われた諸般代理人の青年・ドゥーブルブラン (白葡萄酒二杯)氏が、下町オネエちゃん風の秘書と、同じく 下町アンちゃん風助手を使って、殺人事件を解決するのだが、 弁護士資格も私立探偵の資格もない、諸般代理人が事件を引き 受けたのはひとえに、頼んで来たお嬢さんへの義侠心から。 つま
世界最大の古本屋街、神田神保町。本好きにとっての憧れではあるものの、すこし寄り付き難い街。 SFに興味はあるけど神保町の古書店に行くには抵抗感がある、そんなひとでも安心して古書店巡りを楽しめるように、神保町でSFを取り扱う主な古書店を紹介する。(若干自分自身の備忘録代わりという面もある) @ワンダー 古書いろどり 羊頭書房 三省堂書店古書館 古書かんたんむ・神保町古書モール 澤口書店巌松堂ビル店 @ワンダー 神田神保町2-5-4 開拓者ビル1・2階 定休:年末年始 神保町の古書店 @ワンダーのブログ twitter.com 神保町でSF・ミステリを扱う書店としてまず挙がるのがこの@ワンダー。神保町駅A1出口から右手に徒歩30秒という立地のため、神保町初心者でもアクセスしやすく、迷いにくい。 サンリオSF文庫、ソノラマ文庫などの絶版文庫をはじめとして、SFマガジンや銀背(ハヤカワ・SF・シリ
今年は小説を読むと決めた年だった。 島田荘司の占星術殺人事件を読んで以来、本格ミステリを読み続けて新本格ミステリへと移っていった80年代後半から90年代。本当にミステリばかり読んでいた。その後、会社でそれなりの立場になっていくと、小説を読むのはやめてしまい、ビジネス書、経済書、ノンフィクションばかりを読むようになった。それらの本が仕事に役に立ったか、というと実はよく分からない。読んですぐに役に立つ本というのは実際あまりないのだ。 ただある年齢まで達したこと、そして今後歳を重ねるにつれて、本を読む事さえもできなくなっていく可能性もあると思い、ビジネス書や経済書にこだわることなく、自分が今読みたい本を読む、自分が面白そうだなと思う本を読む、読む本は自分で決める、という当たり前の本の読み方をしようと思った。その経緯は以前にも書いた。 small-things.hatenablog.com そして
幽の書評vol.12 辻村深月『ふちなしのかがみ』 2019/2/10 幽の書評 声にならない呟きが空間を満たしていく いつか恐い話を書くだろうな、と予感はしていた。辻村深月のことだ。彼女の書くミステリー小説には、声にならない囁きが満ちていたからである。辻村作品を読むと、いつも青春時代の暗い面に思いを馳せさせられる。たとえば『太陽の坐る場所』(文藝春秋)を読めば、行間からアノトキハ言エナカッタ……、本当ノ私ハココニイル人間デ... 記事を読む 幽の書評VOL.11 高橋克彦『たまゆらり』 2019/2/9 幽の書評 途切れた記憶が思わぬ魔を呼びよせる 高速で空中を動き回る、黒い玉がある。ビデオ映像などに写りこんだ謎の物体は、たまゆらと名づけられた。〈私〉は、その正体を解明したいという思いに駆り立てられるのだが――。 『たまゆらり』は、不思議現象に取りつかれた男を描く標題作をはじめ、全十一篇
はいどうも。先日放送された三谷幸喜脚本のオリエント急行が思いのほか良い出来でクリスティマニアとしてはちょっと微妙な気持ちになったことは記憶に新しいですね。アガサ・クリスティといえば多作でありながら駄作なしという極めて素晴らしい作家で、それゆえクリスティ初心者は何から読めばいいのか、という問題に突き当たると思われます。 しかし幸いなことに今はインターネットが発達しており、「クリスティ おすすめ」と入力検索すれば名作中の名作『そして誰もいなくなった』『オリエント急行の殺人』『ABC殺人事件』『アクロイド殺し』あたりがサジェストされる。では、それらを読んだ人がその次にどんな作品を手に取ればいいのか、というあたりについてはあまり詳しい紹介が無い、というのが現実です。というわけで今回は、クリスティ中級者にお勧めする作品を順不同で紹介します。 1.『ゼロ時間へ』 クリスティマニアの間では有名中の有名作
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