国際結婚の破綻などで一方の親に国を越えて連れ出された子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」に基づいて、外国にいる親から日本の裁判所に子どもの返還を求める申し立てが日本で条約が発効した去年4月からの1年間に16件あり、9件で返還命令が出たことが最高裁判所のまとめで分かりました。 このうちこれまで9件で子どもの返還を命じる決定が出ました。いずれも決定までおおむね6週間以内のスピード審理で行われましたが、外国にいる親の弁護士によりますと、返還命令を受けた親がすぐには応じず、制裁金を科す別の手続きを進められてようやく子どもを戻したケースもあったということです。 ハーグ条約に詳しい東京大学の早川眞一郎教授は「ほかの国でも速やかに子どもが戻されるかが課題となっていて、裁判所の返還命令が出たあとの状況も注視していく必要がある」と指摘しています。