UNIXの歴史にはある大きな転換点があり、そこには「もう一つの未来」の可能性が開けていました。この転換期に起こった出来事は「UNIX戦争」として知られていますが、その背景に「UNIXをC++で分散OSに書き直す」という野心的な計画があったことは、今ではほとんど語られることはありません。 私は、この一連の出来事の時期に、『日経エレクトロニクス』の記者としてUNIXの動向を追っていました。当時の出来事の概要を、取材者の視点から書き記しておきたいと思います。多くの読者にとって初耳の情報も含まれていると思います。 一連の出来事の発端は1987年に発表された、Sun、AT&T、Microsoftによる統合UNIXの発表です。この発表の前夜がどういう時代だったか、という話がまず必要でしょう。 統合前夜 1980年代後半は、コンピュータの歴史でも重要な時期でした。この時期、32ビット・マイクロプロセッサ
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