日本は、世界に比類無き新聞大国だ。朝日、読売、毎日、産経、日経の全国紙5紙を筆頭に毎日4700万部もの新聞が宅配され、人口一人当たりの普及率も世界で群を抜いている。免許事業のテレビ局のような監督官庁の干渉を受けることもない新聞は、まさに独立した言論の府として確たる地位を築いているかに見える。しかも、この5大紙は全国ネットの放送局を始め、日本中のテレビ局やラジオ局に資本参加し、その多くを実質的な支配下に置いている。今日若者の活字離れやインターネットの急進に牙城を脅かされているとはいえ、日本の新聞ほど強力な言論機関は世界でも他に類を見ない。 ところが、その新聞王国が、外からの脅威によってではなく、自らの足下から崩れ始めている。毎日新聞社で常務まで勤め、昨年まで経営面から新聞界を見つめてきた河内孝氏は、すでに「新聞ビジネスは破綻している」と言い切って憚らない。 高度成長期に、人口増と核家族化の波