友人から、こんな話を聞いた。 彼女のお世話になった先輩が、会社を休んでいるらしい。30代前半の独身男性。半年前に違う部署に異動して、顔を合わせる機会が減った。そういえば最近見かけないなと思ったら、心を病んで休職しているという。先輩の異動先は会社の経営方針を決める部署で、文句なしの“栄転”だった。 (※なお今回は身バレに配慮してフィクションを随所に入れてあります。) 誰もが憧れる出世コース。一昔前なら実家で赤飯が炊かれただろう。一体、彼に何があったのだろう……と、友人は言った。 これは私の想像にすぎないが、おそらく彼は「自分を好き」になれなかったのだ。 自己評価を他者や社会の常識にゆだねてしまう人は、心を病んでしまいやすい。たくさんの例を見ているわけではないが、私はそう思う。一般的に、賢くて勤勉な人ほど鬱病にかかりやすいと言われている。自殺者には、絶対的幸福感よりも相対的な幸福感を優先する人
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