モーゲンソー・プランではドイツを南北に分割するほか、西部に国際管理地域を設けることになっていた。灰色の部分は、フランス・ポーランド・ソ連に割譲される区域である モーゲンソー・プラン(Morgenthau Plan)は、第二次世界大戦中に立案されたドイツ占領計画の一つ。 二度の世界大戦において同盟国(中央同盟国・枢軸国)の中心的存在であったドイツから、戦争を起こす能力を未来永劫奪うため、過酷な手法を用いる懲罰的な計画であった。本来の提案では、計画は以下の3つの段階からなっていた。 ドイツを2つの国家(北ドイツと南ドイツ)に分割する。 ドイツの主要な鉱工業地帯であるザールラント、ルール地方、上シレジア(シュレジエン)は国際管理の下に置くか、近隣国家に割譲する。 ドイツの重工業は、その全てを解体あるいは破壊する。 アメリカ合衆国財務長官でユダヤ系アメリカ人のヘンリー・モーゲンソーによって立案され
上層ブルジョワジー、旧官僚や軍を代表する貴族など広範な層から成る『ドイツ国権派(Die deutschnationalen)』は、その政治的信念において青年ナショナリズムの激烈な突撃精神に対して否定的な態度を示していた。社会問題には他のナショナリストに比べてきわめて無関心であり、民主主義による国民的な民族国家の建設に反対する頑固な反民主主義の集団だった。 国権派ナショナリストは生粋の君主主義者であり、自分たちに権力と特権を保障してくれる支配秩序の代弁者だった。それゆえ帝政時代に彼らがもっていた強大な社会的、政治的地位が共和国によって失われたときこれらを祖国の混沌と道徳的退廃との広がりと捉えていた。 聖なる理想は革命と革命後の嵐の中で無残にもかき消され、国家生活と社会生活の道徳的基盤は失われた。 権威、王権神授説、忠誠、祖国愛、異なる身分の人々の全財産への畏敬は無価値なものとしてガラクタ置場
歴史の公的使用について ドイツ連邦共和国の公式の自己理解が壊れつつある ユルゲン・ハーバーマス Piper社[編](1995)『過ぎ去ろうとしない過去:ナチズムとドイツ歴史家論争』(徳永恂/清水多吉/三島憲一/他訳)人文書院、p.195-211。 『ツァイト』紙の最近号に載ったエルンスト・ノルテの静かな記事を読んだ読者で、『フランクフルター・アルゲマイネ』紙での感情的な議論をフォローしていない人は、歴史上の細かいことが争われているのではなかろうかといった印象を抱くに違いない。しかし、実際に問われているのは、現代史の記述に生じた修正主義を政治の場で実現すること、つまり〔一九八二年の〕政権交替によって、自分たちを転換政府と称する政治家たちが一生懸命せかしていることである。それゆえハンス・モムゼンは、この論争を、「歴史的―政治的思考の組み替え」というコンテクストに置いて論じている。雑誌『メルクー
歴史学的に歴史家の仕事はどのように読まれるべきかという問題は、歴史家が歴史家としてほかの歴史家に対する態度のあり方に関わってくる。次にあげるユルゲン・コッカの「歴史家論争」についてのコメントは、この問題に対するひとつの解答である。長いよ。 ノルテの比較のテーゼが、いかにいい加減に、救いのない仕方で、また部分的に弁護論的に提起されているにもせよ、それがスキャンダルなのではない。本来の挑発は、むしろ次の点にあったし、今なおそうである。すなわち、ノルテは、一方での、時間的に先行する―内戦期およびその後のスターリンの大量テロルの形での―ボルシェヴィキーの「アジア的階級殺りく」と、他方での、時間的にそれに続いて起こった国民社会主義の「人種殺りく」との間に因果連関を設定し、後者を、存続する「アジア的」脅威に対する国民社会主義者の防衛反応、それも理解できなくはない、いわば予防的な防衛反応と解釈しているの
先日、とある人とパレスチナ問題について話していて、その人は日本における反イスラエルの言説が反ユダヤ主義に結びつくことを危惧していたのですが、ぼくはさすがにそんなバカな話はないだろうと、たかをくくっておりました。 でも、あるんですねこういうのって。 ■歴史問題と政治問題の憂鬱な関係、あるいは、歴史的修正主義について http://d.hatena.ne.jp/negative_dialektik/20090317/1237279039 確かにドイツでは1970年代後半のレバノン侵攻以降高まったイスラエルへの批判の一部が、ホロコースト否認論と結びついて問題になったことがあります。日本でも、チベット解放と南京大虐殺否定論が反中という点において結びついているネットウヨクがいるように、それ自体正当なものである批判的言説が歴史修正主義の侵入を許してしまうのは、ありえないことではなかったのでした。 歴史
ドイツやフランスのようにホロコーストの否定を法で禁じている国々においても、もちろんそれが「言論の自由」という重要な原則に抵触するのではないかという主張は存在する。否定論の禁止を(積極的にであれ消極的にであれ)支持する者だってそうした疑義が真性のものであることは認めるだろう。「言論の自由」という観点から「ホロコースト否定論を法で禁じるべきでない」と主張することはもちろん禁じられていないし、現にそうした主張はなされているし、そうした主張が馬鹿げたものとされることもない。 問題は、あたかも自由に研究を続けていれば「実はホロコーストはなかった」という結論が出てくるかもしれないと言わんばかりの、ホロコースト否定論を法で禁じることでホロコーストの実態解明が阻害されているかのようなスタンスで否定論禁止法を扱うことだ。これは第一に、これまでの研究の蓄積に対する侮蔑である。実際、(日本において)そういう態度
捏造された「朝日新聞の捏造」? 偽の論点による偽の反論(の・ようなもの) 池田信夫の捏造 「朝日新聞の捏造」論について 朝日新聞の「慰安婦」報道の実態 1992年1月の「慰安婦」問題報道・3紙比較 恐るべき朝日新聞の洗脳力 「池田信夫の捏造」完全版(エントリ中でリンクをはってある記事についても) 読売新聞の「慰安婦=女子挺身隊」説 「河野談話」をめぐる初期報道について/補足と訂正 92年当時のアメリカメディアの反応 分の「仮説」にあわせて事実をねじ曲げてるのはどっち? 上告もせずに終わっていた「朝日新聞を糺す国民会議」訴訟 安倍政権は朝日新聞の三連勝についてコメントすべき立場 麻生財務大臣の発言から考える「「慰安婦」問題=朝日の捏造」説 「バターン死の行進」問題まとめ――「ネタ」のシニシズムについて 過去2週間の話題を巡って(12日追記) 「痛切さ」を欠く「仕方なかった」言説 『アウシュヴ
ぶくまでみかけた⇒東浩紀の渦状言論: 信頼社会は不安社会よりいいのか? つまりは、信頼ベースの社会というのは、基本的に信頼の適用範囲を限定した社会にならざるえません。 ここだけが重要っていうことではないんだけど、なんか基本がずれている感があるので。 信頼というのは、個人の価値の、つまり友人とかの選択とか、情報の選択という場合の信頼性というのと、国家=公、の信頼性とは別で、こちらは限定というより、公義のなかに信頼性が自然に含まれているものでないといけない。たとえば、あの裁判官は信頼できないというのは別段公言してもいいけど、裁判制度が信頼できないというのは違う。もしそうならそれを公義に信頼に足るものにしないと。(あと貨幣が信頼できるというも公義のうちかな。) で、信頼の社会というのは、実際には、そうした公義だけの問題ではないんだろうか。 不安ベースの社会は、人間を人間扱いしない、ぼく風の言い方
-2024年02月06日更新- I. 市民講座・エクステンション講座等 2024年度夏季エクステンション講座(企画予定)「ヒトラーはどうしてあんなに残酷になれたのだろうか?」 ―――――参考資料――――― 2023年度エクステンション講座「ホロコ―ストの歴史と記憶〜ナチス・ドイツのジェノサイドに向き合う〜」: 担当:第2回 2023年11月15日(水)13:00〜14:30. 「ホロコ―ストの開始、進行のプロセスを解明する」 ――――――――――― *エクステンション講座担当:最近のリストhtml -------------------------- 過去の担当エクステンション講座資料 II. 最近の研究調査活動・研究会報告・研究成果等 時系列リスト(適宜更新html, 2023-07ff) 『アウシュヴィッツへの道――ホロコーストはなぜ、いつから、どこで、どのように』(横浜市立大学新叢書
『ショアー』などの商業的成功も手伝って、一般的には「ホロコースト」「ディアスボラ」といったら、ユダヤ民族迫害が第一義に想像されてしまうのだが、迫害は彼らだけの独占問題ではない。id:hizzz:20090204で書いたように、大戦後は東ヨーロッパに住む多くのドイツ系が暴力的な迫害を受け、ほとんどが国外に追放された。ヨーロッパの20世紀は、少数民族集団に対する暴力が最高潮に達した時代だった。という訳で、遅ればせながら、id:hizzz:20090214前回の続き。 欧米で神聖化したホロコーストの悲劇と、それを金儲けに利用するユダヤ系産業資本を批判して、「ホロコーストの唯一性を主張することは、ユダヤ人の唯一性を主張することになる。ユダヤ人の苦しみではなく、ユダヤ人が苦しんだということが、ザ・ホロコーストを唯一無二のものにする。言い換えれば、ザ・ホロコーストが特別なのはユダヤ人が特別だから、とい
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く