暗い部屋の中、子ネコが胸の上で「ミー」と鳴いた。さっきまでの「ミー」と「キー」の間から比べると、少しはネコらしい鳴き方に聞こえた。人間は喉の渇きを覚えたので、ネコを抱いたまま台所へ行き水を飲んだ。「お前も飲むか?」とコップに指先を浸し口元へ持っていくと初めて、ほんのかすかだが舌を出して舐めた。今度は二本指で水をすくい、口を濡らしてやると首を振って嫌がるような仕草をしつつ、やはりかすかに舌を出して舐めた。ベッドに戻るときiPhoneを見ると5時20分。「あと2時間」と思う。動物病院のホームページには、クレジットカードが使えるかどうかの記載がなかった。現金がないので下ろしに行かなければならない。 銀行のATMは8時に開く。だから7時半には自転車を飛ばしてお金を下ろしに行き、8時半には家を出る。動物病院までは自転車で10分ほど。9時5分前には着いて待っていようと思った。再び子ネコを心臓の上に乗せ