誰もが一度は目にしたことがあるはずだ、バイクや自転車の荷台で揺れる緑色のマシーンの姿を。その名前は……出前のときに使う、あれだよね、あれ。おそらく、そんなふうに記憶に留めているに違いない。発明から半世紀以上。日本の蕎麦文化を変えた“あれ”について話すときが来たようだ。 見よ、あふれんばかりの機能美を。ブリキのおもちゃを想起させるレトロな佇まいを。これこそが、蕎麦屋の出前を一変させた大発明、出前品運搬機(通称・出前機)の全貌だ。 見たことがない? いやいや、そんなことはないはずだ。最近でこそ出前をする蕎麦屋も減ってきたが、まだまだ現役バリバリ。蕎麦屋の前を通れば、ホンダのカブや自転車の荷台に鎮座する出前機を目にする機会は少なくない。あまりにも普通だから記憶に残りにくいだけだ。いささか据わりの悪いデザインも、荷台に載せれば乗り物と一体化し、抜群の安定感を発揮する。 「初期からこのデザイン。バイ

