曹操とは、良くも悪くも他人が真似の出来ない行動によって、天下を握りかけ、そしてとり逃した人物だ。 現代の会社で例えてみると、人並み外れた業績もあげてきたが、それを帳消しにしかねない欠点もさらして、社長になりきれなかった専務取締役のような感じかもしれない。 曹操のプラス面とマイナス面、それぞれを見ていこう。 まずプラス面。『三国志』の時代、表舞台で活躍した英雄たちには1つの共通点がある。それは皆、後漢王朝末期におこった黄巾(こうきん)の乱の鎮圧に力を振るった人物やその子孫たち、ということだ。曹操、袁紹、孫権、劉備……すべて、そうだ。 ところがこの戦いのなかで、曹操だけが1人異彩を放っていた。 それは、彼だけが黄巾賊を味方につけてしまったことなのだ。 192年、かれは青州(いまの山東半島)にいた黄巾の大規模な残党と戦い、苦戦に苦戦を重ねて和議を結んだ。その中身というのが、黄巾側は降伏して身