『物欲なき世界』(菅付雅信/平凡社)という名著があります。菅付氏は筆者の友人で、名編集者と謳われる方です。この本は、若者たちの消費離れという現象から現代社会を読み解き、モノがあふれる暮らし方から価値観が転換していくことを示唆しています。 確かにそのとおりで、自らを振り返ってもモノに囲まれていることを当たり前と思っていた数年前を、懐かしくもまた恥ずかしく思う次第です。まだ整理の途上にありますが、東京で暮らしていた頃よりははるかに持ち物が少なくなり、買う物もずいぶんと少なくなりました。しかし、それによって困ったことはただの一度たりともありません。 つまり、余計なものが身の回りにたくさんあったのです。それに気づかずに、逆にそれが当たり前と勘違いして生活していたということなのでしょう。今になってみると、「あの頃はなんだったのだろう」と考えたりしてしまいます。大袈裟ではなく、不必要なモノばかりに囲ま