『きのう何食べた』14巻表紙(筆者撮影)『きのう何食べた?』は弁護士の筧史朗と美容師の矢吹賢二の暮らしを軸に、彼らの周辺も含めた人間関係と細やかなレシピ付きの家めしを描くマンガだ。2007年に始まった連載はすでに10年を超えて、今年7月に14巻がでた。 描かれる日常日常を繊細かつ丁寧に描く、「家めし」マンガの傑作である。 主人公の2人はゲイで、東京・阿佐ヶ谷をモデルにした街に暮らしている。家めしといっても、家庭で再現不可能な凝ったものはでてこない。 筧はきっちりと定時に仕事を終えて、自宅で晩御飯をつくる。月の食費は3万円。彼はどこの街にもあるようなスーパーで値段をチェックしながら食材を買う。味が一発で決まるという理由で白だしを料理の決め手にし、めんつゆや顆粒だしを愛用する。最新巻では作り置きの茹で鶏(ムネ肉)を使い切ることに喜びを見出す。 連載開始時には43歳と41歳だった2人も作中で年を