ブックマーク / bakhtin19880823.hatenadiary.jp (643)

  • 【愛の◯◯】唐突に志望大学を打ち明ける葉山 - 音楽と本、それからそれから……。

    ポヤ~ンと朝飯をっていたら、 「眠いの!? アツマくん」 と、向かいの席の愛から罵倒が。 「だってまだ起きたばっかだし」 「とってもストロングなコーヒーを飲ませなきゃダメみたいね」 「えっコワい」 「こわくない!!」 はいはい。 分かったから、テーブルを叩かないで。 で、後のコーヒーとなったワケなんだが、 「アツマくん、わたしを見て」 「? なぜに」 「告知があるの」 なーんかイヤな予感がするぞ。 「またもや、ブログの管理人さんが取材旅行に行くので――」 「更新お休みしまーーす!! ってか」 「そういうコト」 奴(ヤツ)も懲りねーな。 「4月10日から12日までの3日間、更新お休みよ」 「ふうん」 おれはコーヒーを啜(すす)って、 「ちょうど良いんじゃないのか? ほら、記事を書き続けてると、キーボードだとかマウスだとか、機器が消耗するだろ」 「あなたらしくない眼の付けどころね」 「それ

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    s-johnny
    s-johnny 2024/04/07
  • 【愛の◯◯】短縮版は朝飯の最中に - 音楽と本、それからそれから……。

    「お兄ちゃん、今日は短縮版だよ」 「おー」 「800字から900字で」 「うぉー」 「なにその反応!?」 × × × 「えーと状況説明。 おれは実家の邸(いえ)に『プチ帰省』中。 そんでもって妹のあすかと仲良く朝飯をっており――」 「ちょっと待ってよお兄ちゃん」 「へ」 「『仲良く』ってなに『仲良く』って」 「だって、おれとおまえ、仲良し兄妹じゃん?」 「んなっ」 「だろ?」 「あ……兄貴の笑い顔がキモチワルイ」 「おいおい」 「朝中にそんなにキモくならないで」 「おいおいおいおい~~」 「べるのに集中したらどうなの変態兄貴!?」 「や、変態とは」 × × × 「それにしても、おまえ、焼き海苔に醤油かよ」 「はぃ!?!? どーゆう意味」 「知ってるか、焼き海苔って高級材なんだぞ。朝っぱらから焼き海苔に醤油でご飯うとは、ずいぶんお嬢さまなこった」 「あのねえ。『朝っぱらから』って言

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    s-johnny
    s-johnny 2024/04/06
  • 【愛の◯◯】OBがまさかのあの男性(ヒト) - 音楽と本、それからそれから……。

    音楽鑑賞サークルの『MINT JAMS』に入会する理由ができたような気がする。 不純な理由、なのかもしれないけど。 昨日出会った、某自動車メーカー経営者ファミリーに仕えるメイドさんの「蜜柑さん」。 彼女の物腰の優雅さや、優雅でいて時にイタズラな部分を垣間見せるところが、眼に焼き付いて離れない。 さらに、蜜柑さんと『MINT JAMS』のリーダー的存在のムラサキさんとの関係性。 大学4年生男子なのに小柄・童顔・ボーイソプラノのムラサキさんと、彼より年上でファッショナブルでエレガントな蜜柑さんとの取り合わせ。 気になる。かなり気になる。 蜜柑さんとムラサキさんの◯◯な◯◯を深く知りたくならずにはいられない。 × × × だから、私は今日も学生会館1階のサークル部屋に来た。 「どうやら、川口さんは入会に前向きになってくれたみたいだね」 嬉しそうに言うムラサキさん。 「はい、前向きになりました」

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    s-johnny
    s-johnny 2024/04/04
  • 【愛の◯◯】新しい春にメイドさんと出会う - 音楽と本、それからそれから……。

    ハァイ。 私の名前は川口小百合(かわぐち さゆり)。 7月産まれ。 身長167センチで、自分で言うのもアレなんだけど、高身長女子。 髪型は黒髪ロング。 この春から大学生。 高校時代は生徒会長をやったりしていた。 大学には生徒会長的なポジションが無いみたいで残念。 学生会館に来ている私。 どこかのサークルに所属したい。 サークルで新しいコトを始めて、高校時代同様に自分を輝かせたい。 そんな気持ちで1階フロアを歩いている。 新歓シーズンなのだから当然、新入生歓迎仕様のポスターが貼られていたり、同じく新歓仕様の立て看板が置かれていたりする。 あるサークルのお部屋の前で私は立ち止まった。 『MINT JAMS』 そんな名前のサークルらしい。 ハッカのジャムって意味よね。 ポスターでは『音楽鑑賞サークル』を標榜。 ハッカのジャムと音楽がどう結びつくのかしら……。 不思議な気持ちになって、気付けばその

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    s-johnny 2024/04/03
  • 【愛の◯◯】関西出身トリオに波乱の◯◯!? - 音楽と本、それからそれから……。

    新入生の「敦賀由貴子(つるが ゆきこ)」ちゃんがサークルのお部屋にやって来てくれた。 昨日お部屋に来てくれた小松まなみちゃんよりも、だいぶ長い髪。 わたしの長髪ほど長くはないけど、肩の下まで伸びていて、前代幹事長の高輪(たかなわ)ミナさんを想起させるものがある。 背丈は160センチに少し届かない程度。これもミナさんとの相似点(そうじてん)だ。 お部屋の入り口の近くで由貴子ちゃんと立ち話。 「由貴子ちゃんは大阪出身なのよね? あんまり関西弁的なイントネーション出てないわね」 「鍛えたんです。東京の大学に行くんだから、東京の色に染まるべきだ、って」 ほほぉ。 「入会動機は?」 わたしが訊くと、 「漫画7割、ソフトボール3割、です」 オーーッ。 昨日、小松まなみちゃんは、 『漫画3割、ソフトボール7割』 と言っていた。 新入生の女の子ふたりで、好対照……! 「どんな漫画が好きかしら? やっぱし、

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    s-johnny
    s-johnny 2024/04/02
  • 【愛の◯◯】幹事長になったことでもあるし、厳しくする - 音楽と本、それからそれから……。

    新入生の「小松まなみ」ちゃんがサークルのお部屋にやって来てくれている。 かなり短い髪。わたしの長髪の3分の1ぐらいの長さ。 そして背が高い。165センチか166センチってところね。 第一印象は、「ボーイッシュ」。 「ねえねえ、あなたのこと『まなみちゃん』って呼んでもいい?」 「もちろんいいですよ、羽田幹事長」 「わたし『羽田幹事長』はイヤかな」 「えっ」 「下の名前で呼んでくれるほうがいい」 「えーっと……愛さん、でしたよね」 「そーよ」 「では、『愛さん』で」 わたしはニッコリ。 そういえば、このサークルで女子の後輩ができるの、初めてだ。 「まなみちゃんは、どうしてこのサークルに入ろうと思ったの?」とわたし。 「動機は、漫画3割、ソフトボール7割です」とまなみちゃん。 「なるほどー。カラダを動かすのが好きなのね?」 「好きです」 「わたしとおんなじ」 「そうなんですか」 『羽田センパイは

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    s-johnny 2024/04/01
  • 【愛の◯◯】男子コンビを向こうに回して侑は…… - 音楽と本、それからそれから……。

    わたしの左斜め前の席の脇くんが、 「4月になってないけど、今日が入学式なんだな。どうしてだろう?」 わたしは、 「4月になってないとはいっても、3月最終日でしょう? それに日曜日だし、入学生の親御さんが来やすいでしょ」 「それはそうなんだけど……いいのかな、4月にならないのに入学式やっちゃって。ルール的にどうなのかな、と思ってしまう」 ここでわたしは、脇くんの顔面にネットリと視線を注ぐ。 愉しい笑い顔を脇くんに見せつける。 動揺する彼に向かって、わたしは、 「諸々の理由があるのよ」 「それは……裏事情的な??」 「ブログの事情~☆」 「!?」 「ゴメン。『ブログの事情』云々は言い過ぎだった」 「羽田さん……」 「ふふっ☆」 とうとう最高学年のわたしたち。 ・わたし(羽田愛) ・脇くん ・新田くん ・侑(ゆう) この4年生カルテットがサークルのお部屋に集まって、新歓活動の対策を練って

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    s-johnny
    s-johnny 2024/03/31
  • 【愛の◯◯】花見からタモリに脱線 - 音楽と本、それからそれから……。

    「アツマくん、今日は、短縮版」 「おー」 「1000文字を目安にするとして。……ところで」 「んー」 「昨日は、とってもとっても、ありがとう……。沈んでたわたしに、一生懸命優しくしてくれて。すっかり立ち直れた」 「なによりだ」 「アツマくんが言った通りなのよね。いざピンチを迎えると、普段のわたしと真逆になっちゃう。わたしがわたしでなくなって、簡単なことも、こなせなくなっちゃう」 「愛のチャームポイントだな」 「ちゃ、チャームポイントかしら」 「チャームポイントだし、だれがどう見たって萌え萌えポイントだろ」 「も……萌え萌えポイント!?」 「へへへ」 「な、な、なによその笑顔」 「ゴメンなぁ。気色悪くって」 「い、いや、気色悪いまでは、行かないけど」 「それは良かった☆」 「テンション高いわね……」 「高くもなるさ」 「どうして」 「春だから」 「春だから……??」 「だって春だろ。春番っ

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    s-johnny 2024/03/30
  • 【愛の◯◯】『ちゃん』を要求 - 音楽と本、それからそれから……。

    真剣にぼくの原稿に愛ちゃんが眼を通している。 リビングでふたりだけ、なのでは無く、不可解にも梢さんがぼくの斜め左前のソファにいて、野次馬みたいな存在になっている。 「流(ながる)さん」と愛ちゃん。 「なんだい」とぼく。 「赤ペンありますか」 「あるよ」 赤ペンを手渡し。 彼女は素早く原稿に書き込みを入れていき、 「もう少しでカタチになりますね。4月に入る前に完成させましょう」 「うん。そのつもりだ」 うなずくぼく。 うなずき返す愛ちゃん。 「ねーねーねーねー」 ねちっこい口調で、野次馬の梢さんが、 「それ、文学賞みたいなのに応募するんだよね?」 「……しますよ。文学賞『みたいなの』じゃなくて、ちゃんとした文学賞に」 「流くん、敬語はNG。きのう約束したでしょ」 梢さんが文学賞に理解が無いから、思わず敬語になっちゃうんだけど。 でもそんな理屈、通じないよな。 いろいろあきらめて、背もたれに上

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    s-johnny 2024/03/26
  • 【愛の◯◯】さっそく同年代男子を攻めていく - 音楽と本、それからそれから……。

    スーツケースを携えて玄関に立つ私を明日美子さんが出迎えてくれる。 「ようこそ~~、梢ちゃん」 優しい笑顔。 ステキなオトナのオンナのヒトだ。 「来るのが平日になってすいませんでした」 「いいのよいいのよ。わたしは平日も休日みたいなモノだから」 「アハハ……」 「早く上がってちょーだいよ」 「では」 × × × 私の座るソファの手前の長テーブルにチョコレートの盛られた深皿が置かれる。 置いてくれたのは明日美子さんの娘さんのあすかちゃんだ。 それにしても、 「高級チョコ、だよね。高級なのばっかり盛られてる」 「ですかー? 無作為に選んだんですけど」 「あすかちゃんも――」 「はい?」 「だいぶお嬢さまだよね」 「またまたぁ」 型通りの苦笑のレスポンス。 テーブルを挟んだ真向かいのソファに腰を下ろすあすかちゃん。 彼女、なんだか……。 「ねえ」 「どうしました?」 「あすかちゃんってさ」 「はい

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    s-johnny
    s-johnny 2024/03/25
  • 【愛の◯◯】心細さの果てに、添い寝を…… - 音楽と本、それからそれから……。

    お母さんがダイニングテーブルでお酒を飲んでいる。 わたしに気付いて、 「どーしたのよ愛。まだ寝てなかったの」 下を向くわたし。 眼を合わせられない。 いちばん伝えたいコトを言う勇気が無い。 振り絞れない。 缶ビール片手にお母さんは、 「わたしの晩酌につきあう? 日酒、冷蔵庫にあるけど」 「……」 なにも返事できず、焦り気味に首を振るばかり。 「あらぁ」 お母さんは、 「もしかして、寝付けないから下りてきたの?」 その通りだけど、その通りだから、わたしは黙(もだ)し続けてしまう。 「ウチのベッドがしっくり来てないのかしら」 ようやくわたしは、 「ちがうの。そんなんじゃないの」 と声を出す。 でも、フニャフニャで弱く情けない声。 「だったら、心理的な問題かしら?」 当たってる。 だから、床に視線を落として、再び応答できなくなってしまう。 それでも、勇気を振り絞って、顔を上げ、お母さんの顔に懸

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    s-johnny 2024/03/24
  • 【愛の◯◯】コドモじゃないけどケナゲ - 音楽と本、それからそれから……。

    守さんとふたりの時間を過ごしたあとは、ご夫の新居にお泊りすることになっていた。 23時を過ぎている。 『おやすみなさい』を言うために階下(した)に下りる。 ダイニングテーブルで心(こころ)さんが読書していた。 守さんの奥さん。すなわち、おねーさん&利比古くんのお母さん。 『どんなを読んでるんだろう?』と思ってしまい、彼女の手元を凝視してしまった。 ソフトカバーだけど、たぶん学術書だろう。 おねーさんもずいぶん難しいを読むけど、おねーさんのお母さんの心さんも難解げなを読むみたい。 『血は争えない』って表現は適切じゃないけど、似たような読書の嗜好を感じ取れて、なんだか微笑ましい。 『おやすみなさい』を言うことを忘れたわたしに、 「あすかちゃん。どーだった?? 今晩の『デート』は」 という心さんの問い掛け。 完全なる先制パンチだった。 余裕たっぷりのからかい。 満面の笑みは崩れそうにもな

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    s-johnny 2024/03/23
  • 【愛の◯◯】ほんとうの父娘みたいに - 音楽と本、それからそれから……。

    夕方。 横浜駅。 おねーさんと利比古くんのお父さんの守さんを待つ。 守さんとディナーに行くのだ。 約束の時刻の3分前に守さんはやって来た。 「待たせちゃったかな、あすかちゃん」 「いえ、そんなコトありません」 羽田姉弟のお父さんと向かい合うわたし。 視線を逸らすのは失礼だから、顔を見る。 優しい笑み。 暖かそうな人柄が滲んでいる。 だから、おねーさんと利比古くんの姉弟がちょっぴり羨ましくなってしまう。 × × × 『羨ましがり過ぎちゃダメだ』 そう自分を叱りながら、守さんの少し後ろを歩く。 かなり上品なレストランだった。 2時間以上服装を考えた甲斐があったかもしれない。 おねーさんみたいな優雅さを身にまとうコトはできないから、服装を考えても考えてもコドモっぽさを拭うコトはできない。 だけど、今日守さんと会う時間は特別な時間だから、わたしなりに精一杯努力してみた。 『なにか飲む?』とお酒を勧

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    s-johnny
    s-johnny 2024/03/22
  • 【愛の◯◯】南浦和で恋をして - 音楽と本、それからそれから……。

    南浦和の某・カフェレストランに来ている。 午後3時台なんだけど、ランチタイムまでしか営業しないから、もう閉店後。 わたくし戸部あすかは、このお店でアルバイトするコトになった。 いわゆるコネクション、である。 お母さんのコネクション。 お母さんが、亡くなったお父さんと、出会った場所であるという。 「明日美子さんは元気か?」 お店のご主人に訊かれた。 「ハイ。1日の半分ぐらいは寝て過ごしてますけど」 「あはは。だから元気なんだろう」 「確かに」 ご主人が、少し真面目な表情になって、 「昨日は、お彼岸だったわけだが……」 「もちろんお墓参りに行きました」 わたしは答えて、ご主人から視線を外さない。 「そうか」 ご主人は近くの丸テーブルの席に眼を向けて、 「あすかちゃん。ちょっと座って話さないか。良馬先生……きみのお父さんと、明日美子さんの『馴(な)れ初(そ)め』について、教えたくなってきた」 ×

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    s-johnny 2024/03/21
  • 【愛の◯◯】結局は流くんに優しくしたい - 音楽と本、それからそれから……。

    昼過ぎ。待ち合わせの駅に流(ながる)くんがやって来る。 なんだか冴えない彼。 これからデートするってゆーのに。 「背じゃない? 流くん」 「そ、そーかな。カレンさんには……そう見えるか」 「わたしじゃなくたって、見えるよ」 ぬっ、と彼に迫り、顔を近づける。 「距離感、近くない……?」 そんなコトを言っちゃう流くんがどーしよーもないので、 「あんまりだらしなさ過ぎたら、背中をバッグで叩くよ!?」 と言って、睨むように見る。 「ごめん。公衆の面前できみに叩かれないように、頑張るよ」 だったら今から背筋伸ばして。 頼りないんだからっ。 × × × ゲームセンターに行く。 流くんとプリクラが撮りたい。 プリクラは昔からの恒例行事。 入店するやいなや、 「もっとキャピキャピした服を着てくれば良かったかも」 と、上着の襟元をつまみながら言ってみる。 わたしながら、わざとらしさ満点である。 無言になる

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    s-johnny
    s-johnny 2024/03/19
  • 【愛の◯◯】バイトの元・後輩は手強いけれど - 音楽と本、それからそれから……。

    かつてのバイトの後輩である綾乃(あやの)と会う約束をしていた。 某ファーストフード店。 注文して、トレーを受け取って、2階席まで運ぶ。 綾乃が隅っこの席に向かっていくので、わたしも従う。 ソファ側の席につく綾乃。 椅子席について綾乃と向かい合うわたし。 わたしのトレーには1個のハンバーガーと1個のフライドポテトとコーラ。 綾乃のトレーには3個のハンバーガーとファンタメロン。 「綾乃」 呼び掛けて、 「とりあえずべましょっか」 と促す。 「そうですね」 と綾乃。 少しシリアスな含みのある声。 3個目のハンバーガーをべながら、 「どうしてバイト辞めちゃったんですか」 と綾乃が言ってきた。 「辞める理由なら、辞めるときにちゃんと伝えたでしょ?」 綾乃はハンバーガーの残りをモグモグする。 べ切って、勢いよくファンタメロンを飲む。 それから、右手を握って、テーブルの端をこつん、と叩く。 「いま

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    s-johnny
    s-johnny 2024/03/18
  • 【愛の◯◯】ワガママ記念日 - 音楽と本、それからそれから……。

    アパート。 朝の身支度をしていたら、いきなり母から電話がかかってきた。 「お母さん、どうして電話してきたの? わたし急いでるんだけど」 「ツンツンしてるわね」 ぬなっ。 「『ツンツン』って……どういう意味」 「だから、『ツンツン』は『ツンツン』よぉ」 「お母さんっ!!」 叫ぶように言ったから、勢い余って左手のヘアブラシを落としてしまう。 床に腰を下ろして、少し息を吸って吐いて、それから、 「わたしの口調、そんなに攻撃的?」 「攻撃的というか――」 母は、 「遅れてきた反抗期って感じよね」 と衝撃的な発言を。 たしかに、反抗期になるべき時期に、わたしはあまり反抗期になっていなかった。 だけど、それは両親を尊敬していたからだ。 厳しい両親だったけど、厳しいのも愛情だと受け容れていた。 それなのに、厳しかったはずの母が、今はすこぶる楽しそうに、 「反抗期が遅れてやって来たみたいで、嬉しいわぁ」

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    s-johnny 2024/03/18
  • 【愛の◯◯】おとうさんが「解決」してくれる - 音楽と本、それからそれから……。

    とうとう両親が日に戻ってきた。 さっそく、両親が暮らすことになる一軒家で、一家4人水入らず。 ダイニングテーブル。 わたしの右横に利比古。正面にお母さん。わたしから見てお母さんの右隣におとうさん。 お母さんがいきなり、 「さーて。これから利比古に、こっちでの愛の様子をレポートしてもらうとしましょーか」 ちょっとなにそれ。 普通の近況報告じゃなくて、利比古にわたしの様子を報告させる体裁? お母さんはなにがしたいの……と訝しんでいたら、 「相変わらずアツマさんに攻撃的だよね」 と、いきなりとんでもない発言が、弟の口から……! 「あらあらまあまあ」 お母さんはとっても愉しそうに、 「せっかく『ふたり暮らし』のパートナーだっていうのに。利比古、愛の傍若無人ぶりを、詳しく聴かせてちょーだい?」 「お母さん!! 勝手にわたしを傍若無人キャラにしないでっ」 「す・る・わ・よ」 「お母さん……」 ラチが

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    s-johnny
    s-johnny 2024/03/17
  • 【愛の◯◯】頑張り過ぎないでよ、彼女でもないのに…… - 音楽と本、それからそれから……。

    朝。 ダイニング・キッチンのダイニングテーブル。 真向かいに座る利比古くんが、いきなり頭を下げた。 「ホワイトデーのお返しをしてなくてすみません。ぼくの怠慢で、チョコを購入することもできずに……」 わたしは、 「いいんだよ」 と優しく許してあげる。 「でも、今日は既に、3月15日で」 「いいからいいからぁ。来年頑張ればいいんだしさ」 しかし彼の目線はどんどん下降し続けている。 「朝から沈んじゃダメだよ利比古くん」 「……」と沈黙の彼。もう沈没寸前な感じ。 「もーっ。せっかくわたしが励ましてるのにー。わたし、邸(ここ)では常に、あなたのお姉さんポジションでいたい、って思ってるんだけどなー」 弱く、 「すみません」 とコトバをこぼしてから、ゆるゆると椅子から立ち上がる彼。 ダイジョーブなのかな。 × × × 夕方。 リビングでくつろいでいた。 週刊のベースボール雑誌を読み耽っていたら、テーブル

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    s-johnny
    s-johnny 2024/03/15
  • 【愛の◯◯】愚兄を崇める女子(ひと)たち - 音楽と本、それからそれから……。

    トリオ女子会である。 場所はアカ子さんファミリーのお邸(やしき)で、 ・わたし(あすか) ・アカ子さん ・マオさん の3名が参加者。 久々にアカ子さんに会ったというマオさん。 アカ子さんと相対するソファに座っている彼女は、 「アカ子ちゃんは、つらいよね……」 としんみり言い、 「ハルがわたしの実家の店に来た時に、不穏な気配をもっと感じ取っておくべきだった。感じ取れてたら、『ハルの様子がおかしい』って、アカ子ちゃんに前もって連絡することもできてたのに」 と、肩を落とし、視線も落とす。 アカ子さんは優しく、 「気を遣わなくてもいいですよ、マオさん」 「でも、でもでもっ」 「きっとマオさんは、ハルくんに強い憤りを感じてるんでしょうけれど」 「……けれど?」 「彼に怒るよりも、彼を心配してくれるほうが、わたしは嬉しいんです」 困惑するマオさんに、アカ子さんは、 「今はもう、わたし、彼のこと、だいぶ

    【愛の◯◯】愚兄を崇める女子(ひと)たち - 音楽と本、それからそれから……。
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    s-johnny 2024/03/13