両親の住む一軒家に来ている。 今日はなんといっても父の日! であるがゆえに、 「おとうさん、あのね」 と、ダイニングテーブルの席についているおとうさんにゆっくりと近付いていくわたし。 意図を察して立ち上がってくれるおとうさん。 わたしは緊張してしまい、紙袋を差し出そうとする両手が震えを起こしてしまう。 見つめ合うコトすら上手にできない。 大学4年生にもなって未だファーザー・コンプレックス。 そんな不甲斐無いわたしにおとうさんが、 「愛。おまえは変わんないな」 「え……。どこが?」 「いざとなると自分を出し切れないところ」 「『いざとなると』って……」 「いざ父の日のプレゼントを渡す段になって、緊張しまくってるじゃないか」 6月だというのに背中がヒヤリとするわたし。 「もっと自然で良いんだよ。おれのコトをリスペクトし過ぎてるんじゃないか? だから、全身に余計なチカラが入る」 わたしは、うつむ