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  • 【愛の◯◯】ふたりの男性(ひと)が遠ざかる不安 - 音楽と本、それからそれから……。

    兄さんが結婚するかもしれない。 今の彼女さんとの関係が、思ったより進展していて。 「適齢期」とかよく分かんないけど、兄さんも30歳になったんだし、『そういうコト』を真剣に考える時期でもあるんだよね。 こんなとき、9歳も年下の妹だというコトが、つらい。 年齢だけでなく、『距離』が離れていく。 存在が遠ざかる。 つらいよ。 × × × 朝ご飯をべ終えたあとで、母さんに、 「あのさ。兄さんの……」 と言いかけて、口ごもる。 ハッキリ言えない自己嫌悪。 わたしのココロの状態を知ってか知らずか、母さんは、 「さやか。お湯が沸いてるから、コーヒー飲めるけど、どうする?」 少し考えてから、 「飲む。」 と答える。 アツアツで真っ黒いコーヒーが手元に置かれる。 親友の某・羽田愛は、いつもこういうアツアツ真っ黒コーヒーを飲んでいる。 愛ほど耐性が無いわたしは、シュガーポットに手を伸ばし、苦さを軽減させよう

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    s-johnny
    s-johnny 2024/03/11
  • 【愛の◯◯】年下の男の子はこうやって助ける - 音楽と本、それからそれから……。

    お久しぶりです読者の皆さま。 蜜柑でございます。 ずいぶん春めいてきたんではないでしょうか。 二十四節気の啓蟄(けいちつ)も過ぎましたし、これからどんどん暖かくなって、ウキウキとステップを踏みながら歩きたくなるような、そんな気分も芽生えてくるコトでしょう。 もっともわたし今年で25歳ですんで、年増(としま)メイドの分際でウキウキとステップ踏んでご近所を歩くなんて、できるワケも無いんですけどね。 あ、日曜日なんですが、お嬢さますなわちアカ子さんはバイトに出かけられました。 アカ子さんの模型店バイトも結構長いですよね。 バイトに行かれるのは宜しいんですけど、就職活動のほうはどうしていらっしゃるのかしら。 わたしの出る幕なんてこれっぽちもありません。ですけど、お嬢さまの進路が気にならないワケも無いので。 × × × ぴよぴよと鳥の可愛い鳴き声が窓から聞こえてきます。 窓を背にしてベッドに腰掛ける

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    s-johnny
    s-johnny 2024/03/10
  • 【愛の◯◯】とんでもない夢が尾を引く - 音楽と本、それからそれから……。

    麻井律(あさい りつ)先輩が、眼の前で、椅子に座って読書している。 少し、おかしいな。 というのは、麻井先輩が、メガネをかけているから。 ぼくの知ってる彼女は、裸眼(らがん)。 なのに今はメガネをかけている。 私服姿だった。彼女は大学3年生なんだから、当たり前か。 かなり小柄なカラダだけど、品(ひん)のある服装だ。オシャレだ。 メガネなのも、オシャレのアクセントになっている。 『羽田』 麻井先輩に、呼びかけられた。 ぼくは姿勢を正して、 「なんでしょうか?」 「アンタの視線がウザい」 「はい??」 「アタシのメガネ姿が奇妙だとか、思ってない!?」 「まさか。奇妙だなんて、そんなことは、断じて」 「もう怒った」 えぇっ。 怒るのが早すぎませんか。 麻井先輩、確かに短気なキャラでしたけど。 「読みなさい」 「読む……?」 「鈍いね!! 短気なアタシとは、真反対」 そうでしょうか。 「『短気』の

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    s-johnny
    s-johnny 2024/03/09
  • 【愛の◯◯】校内放送に時代錯誤の乱入者 - 音楽と本、それからそれから……。

    「今週も皆さまお疲れ様です。金曜日になりました。お昼休みの校内放送『ランチタイムメガミックス』でございます。パーソナリティはわたくし中川紅葉(なかがわ もみじ)――」 「――それと、高津(たかつ)かがみですよ~ん」 「いきなりわたしの喋りを遮らないでください、かがみセンパイ!!」 「怒っちゃダメだよん」 「あの。根的に『おかしい』って思うんですけど」 「なにが?」 「この前卒業式ありましたよね? かがみセンパイ、卒業証書授与されましたよね? 卒業して在校生で無くなったのに、なんで学校に来てるんですか。制服も着てないし、どうやって校舎に入り込んで……」 「えー?? だれもスルーしてたよ。スルーしてたから、『問題無いんだな』って判断したんだけど」 「それでいいの!? スルーする側にも大きな問題があるじゃあないですか!?」 「もみじは、桐原高校の管理体制に不満?」 「不満です」 「いーじゃんい

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    s-johnny
    s-johnny 2024/03/08
  • 【愛の◯◯】カルボナーラもシーフードカレーも◯◯ - 音楽と本、それからそれから……。

    朝飯はすでにい終わった。メイン調理は愛で、おれはちょっとだけ手伝ってあげた。 ホットコーヒーを飲みつつ、 「愛。昨日の晩おまえが作ってくれたラーメン、美味かったよ」 ダイニングテーブルの横のリビングで洗濯物を畳んでいた愛は、 「あら。あなた昨夜(ゆうべ)もホメてくれたじゃないの。もう1回おんなじ風にホメてくれるなんて」 「とっても美味かったから、もう1回ホメるんだぞ」 愛がシャツを畳む手を止めた。 『畳み掛けるべきタイミングだ』 そう思い、おれは、 「特に、味玉だ。昨夜(ゆうべ)は言えずじまいだったが、半熟の味玉がとっても良かった。味付けが白身に良く染みていて、黄身もトロトロだった」 ぱさ……と、いったん持ち上げていたシャツを、手から離した愛。 ゆるり、と洗濯物の前から立ち上がる。 緩い足取りで、ダイニングテーブルのほうに接近してくる。 下目がちに、 「アツマくん。ちょっと、立ってほしい

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    s-johnny
    s-johnny 2024/03/07
  • 【愛の◯◯】カラオケとマティーニ - 音楽と本、それからそれから……。

    アカ子ちゃんと居酒屋の個室で飲んでいる。 生中ジョッキを立て続けに6杯飲んだアカ子ちゃんが、 「星崎さん、星崎さん」 「? どうしたの」 「このお部屋、カラオケができるみたいですけど……」 「エッ、もしかして歌いたいの!?」 思わずカラオケ機械が置いてあるほうを見てしまう。 居酒屋個室でカラオケ。 幾度となく居酒屋個室で飲んだ経験のあるわたしでも、いまだかつて、だれかがカラオケで歌うのに遭遇したことは無い。 再びアカ子ちゃんのほうを見て、 「もしかして、中ジョッキ6杯飲んで、気分が上がり過ぎたとか」 「そうじゃないです。わたしがこの程度の量のアルコールに負けるわけ無いじゃないですか」 確かに、上機嫌なんだけど、シラフとあまり変わらない落ち着きぶり。 「たまには歌ってみるのもいいかしら? って」 そう言いながら、電子目次を手に取り、液晶画面をポチポチと。 テレビモニターに曲名が出る。某デ◯ズ

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    s-johnny
    s-johnny 2024/03/06
  • 【愛の◯◯】これからの呼びかたで◯◯ - 音楽と本、それからそれから……。

    午前9時過ぎの某駅。 先に待っていたボクに水谷ソラが近づいてくる。 卒業式ぶり。 「お久しぶり会津くん」 「なに言うか。お久しぶりでも無かろう。卒業式は先週の金曜日――」 「ばか」 「お、おいコラッ!!」 「ねえ、わたし、プラネタリウムの開始時刻忘れちゃったの。会津くんなら当然知ってるよね」 無理な振りかた。 だがしかし、 「知っている。ちゃんと控えてある」 「よかった~」 × × × 「じゃ、グズグズせずにプラネタリウムに向かうか」 「そうだね」 いったんはそう言った水谷なのだが、 「でも、その前に」 と少し小声になって言い、それから、ボクにまっすぐに向き合い、 「……」 と沈黙して見つめてくる。 どこを見つめてきたかというと、ボクの顔面。 水谷ソラの身長は160センチだ。 ボクより10センチ以上低いワケで……だから、見上げて見つめてくる。 いきなり水谷が右手を伸ばしてボクの左腕を掴んだ

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    s-johnny
    s-johnny 2024/03/05
  • 【愛の◯◯】日曜日 愛はすっかり 元通り - 音楽と本、それからそれから……。

    朝っぱらからカフェに来ている。 『明日は月曜日で定休日だから。今日行っておきたいの』 愛にそう言われて、ふたりでやって来たのである。 モーニングを注文し、ふたりで待つ。 「アツマくん」 真向かいの愛が、優しい笑顔で、 「朝早くからありがとう。つきあってくれて」 おれは、 「まあ、今日は1日中フリーだし」 愛はニッコリニコニコと、 「あなたをくたびれさせちゃうかも」 「だいじょーぶだ。持久力には自信ある」 「確かに。アツマくんは、無尽蔵」 ニッコリニコニコを持続させる愛。 ツンツンデレデレから『ツンツン』が省かれたようなご様子。そんなご様子が、まだ続いている。 ワンプレートの皿に置かれた小さなコーンスープのカップに、番号のように数字がデザインされている。 「おれは『10番』だが、おまえは?」 「わたしは『1番』よ。高校野球だとエースピッチャーね。そしてあなたは控えピッチャー」 なんだそれ。

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    s-johnny
    s-johnny 2024/03/03
  • 【愛の◯◯】世界中の誰よりアツマくん - 音楽と本、それからそれから……。

    「アツマくん、今日はとっても短縮版よ」 「は!? 『とっても』!?」 「600字におさめるつもりで」 「……」 「ナットクできない? ナットクしてくれたほうが、嬉しいんだけど」 「むむ……」 「お願いアツマくん。とっても短縮版であることを、受け容れて??」 × × × 「あのさ、愛」 「なあに」 「昨日に引き続いて、なーんか、おまえの態度が柔らかいんだよな。さっきも、優しい顔で『お願い』って言ってきたりで。おれ、戸惑っちまってる。おまえがそんなに甘くて優しいなんて」 「戸惑う必要なんか無いでしょ♫♫」 「だ、だから、そういう、いつもより甘めな態度が」 「接する態度が甘めでなにが悪いのよ~~♫♫」 「悪くはない。ただ、デレデレされ過ぎると、どういう対応をしたらいいのか分からんくなっちまう」 「そんなこと言わないでっ☆ おねがいっ☆」 「音符マークの次は……星マークか」 × × × 「あすかち

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    s-johnny
    s-johnny 2024/03/02
  • 【愛の◯◯】ホメてくれるセンパイと、もてあそぶセンパイと - 音楽と本、それからそれから……。

    えーと、皆さん、こんにちは。 貝沢温子(かいざわ あつこ)と申します。 ……申すんですが、周りからはよく『オンちゃん』と呼ばれています。 とある高等学校の1年生。 部活動はスポーツ新聞部。 それから、委員会にも入っていて、どの委員会かというと、図書委員会。 えーーっと。 まだなにか自己紹介するべきことあったっけ。 んーーっと。 とりあえず、身長は、155センチであります……。 × × × 卒業式の週が始まった。 金曜日にはセンパイがたが巣立つ。 部活には3年生のセンパイが3人居るから、とってもさみしい。 3年生トリオのかたがたとの日々を振り返って、少しセンチメンタルになりながら、放課後の図書館へと歩いていく。 図書委員の用事があったのである。 カウンターの奥にあるお部屋で、3月の展示の打ち合わせをする。 わたしは2年の春園保(はるぞの たもつ)センパイと向かい合っていた。 3月の展示のテー

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    s-johnny
    s-johnny 2024/02/26
  • 【愛の◯◯】髪を洗ってあげたいサナさん - 音楽と本、それからそれから……。

    「プチ帰省」ということで、昨日からお邸(やしき)に来ている。 朝後。わたしはアツマくんの部屋の前に立っていた。 軽く深呼吸して、ココロを整えて、ノック無しで部屋に入っていく。 「二度寝せずにちゃーんと起きてたわね。偉いわ」 「偉いか?」 「偉いわよ。」 『できるだけ優しくしたい』というキモチを籠めて、彼をジックリと眺めていく。 ベッドに座るアツマくんが照れ気味になる。 「なんか、ホメられると、戸惑っちまうんだよな」 優しさを籠めた声で、 「戸惑わなくたっていいじゃないの」 とわたし。 「たまにはツンデレを封印したいの」 とも言う。 それから、 「攻撃的じゃないわたしのことも受け容れてよ」 と、さらに付け加えてみる。 「そっか」 と言って、わたしの恋人は苦笑いながらに、 「そんな心がけのおまえも、可愛いよ」 と。 嬉しい。 「ところでアツマくん」 「なんだ? 愛」 「この前わたし、東京競馬

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    s-johnny
    s-johnny 2024/02/25
  • 【愛の◯◯】メロンソーダを待った挙げ句 - 音楽と本、それからそれから……。

    戸部くんのお邸(やしき)でトリオ女子会を始めた。 ・わたくし葉山むつみ ・八木八重子 ・小泉 女子校中等部からの長い付き合いの3名である。 3人ともリビングのソファに座っていて、わたしの右斜め前には八重子、左斜め前には小泉。 「葉山」 八重子が呼びかけてきて、 「戸部くんがメロンソーダ買ってくるのが待ち遠しいんじゃないの」 「そりゃそーよ」 わたしは答える。 しかしわたしのスマートフォンの通知音が鳴って、 『すまん近くのコンビニとスーパーのどっちにもおまえが所望のメロンソーダ無かった。別の店を探すから戻りが遅れる』 という戸部くんからのメッセージが。 「彼、しばらく帰ってこれなさそう。メロンソーダ探しが難航してるって」 わたしが2人に告げると、八重子が、 「戸部くんが帰ってきたら、ちゃんと『ありがとう。ご苦労さま』って言うんだよ」 それぐらい分かってる。 「それぐらい分かってるからぁ。とこ

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    s-johnny 2024/02/18
  • 【愛の◯◯】アグネスタキオンと宿題 - 音楽と本、それからそれから……。

    「戸部くん、今日もやや短縮版よ。1200文字程度を目指していくわよ」 「あっそ」 「ちょっと!? これ以上なくやる気無さそうな声ね!?」 「だって『やや短縮版』だし。エネルギー節約したいし」 「せっかくわたしが孤独な戸部アツマくんに電話をかけてあげたってゆーのに」 「なぜおれのフルネームを言った、葉山」 「あなたに敬意を払ってるのよ。……ねえ、まさかわたしの下の名前、忘却してないわよね」 「『むつみ』だろ。葉山むつみ」 「ありがとう憶えててくれて」 「なあ葉山よ。状況説明要るだろ。今回は地の文ナッシングなんだから」 「あなたにお願いするわ」 「愛が競馬場に招待されて、出かけてしまった。マンションの部屋におれ独りになった。せっかく休みの土曜日なのに、相方が居ない。どーすっかな……と思ってたら、おまえから電話がかかってきた」 「そして今も通話中である、と」 × × × 「やっぱしパートナー不在

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    s-johnny
    s-johnny 2024/02/17
  • 【愛の◯◯】『ダイヤモンドステークスは荒れる』 - 音楽と本、それからそれから……。

    「アツマくん、今日はやや短縮版よ」 「1200文字ぐらいってこと?」 「そうよ」 「土曜日だけでなく金曜日にも短縮版とは。やる気が感じられん」 「『だれの』やる気が感じられないってゆーの」 「……ふんっ。」 「それと、『やや』短縮版なんだから、手抜きし過ぎてるわけでもないのよ?」 「擁護(ようご)、ご苦労さま」 「わたしだれも擁護してないし」 「ウソだぁ」 「そんな顔になんないで!! まったくもう」 「今日は明日のメインレースの話をするわよ」 「おまえ明日東京競馬場行くんだもんな。そのメインレースについて素人なりに講釈したいわけだ」 「『講釈』とか……まったくもう」 「お。『まったくもう』ってまた言った」 「明日の東京競馬のメインレースはダイヤモンドステークス」 「唐突に説明し始めるんだもんな」 「なんと距離は3400メートル。伝統の長距離のハンデ戦」 「G3だっけ」 「G3よ」 「日曜の

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    s-johnny
    s-johnny 2024/02/16
  • 【愛の◯◯】ついに愛が競馬場に行く - 音楽と本、それからそれから……。

    後の、のんびりタイム。 いつものごとくダイニングテーブルで愛と向かい合う。 そしていつものごとく愛は熱いブラックコーヒーを飲む。 「なあ。おまえは明後日、東京競馬場に行くことになったわけだが」 「行くわよ」 「土曜日だよな? G1レースは日曜日しかやらんのだろ? おまえが競馬場に行く次の日には『フェブラリーステークス』っていうG1レースがあるみたいじゃないか」 「そうね。フェブラリーステークスは東京競馬場のG1」 「なぜ、現地でG1レースが観られる日でなく、その前日の土曜日に……」 「わたしを招待してくれた馬主さんの都合が、半分」 「残り半分は?」 「馬主さん、競馬場が混雑してない日のほうが好きなんだって。ほら、G1レースの日だと、スタンドが観客で埋め尽くされるでしょ」 「ふむ……」 「人の少ない競馬場のほうがわたしも『やりやすい』んじゃないか、って配慮もあるのよ」 「なるほど。競馬場

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    s-johnny
    s-johnny 2024/02/15
  • 【愛の◯◯】バレンタインと3人の女子 - 音楽と本、それからそれから……。

    「CM研」のサークル室でCM雑誌を読んでいたら、 「羽田くん、ちょっといいか」 眼の前に現れたのは荘口節子(そうぐち せつこ)さん。 やっと「羽田くん」と呼んでくれたのが嬉しくて、 「ありがとうございます。羽田『新入生』と呼ぶのをやめてくれて」 荘口さんはなぜか若干恥ずかしそうになって、 「もうそろそろ……きみも、2年生だし」 彼女が後ろ手になにか持っていることに気付いたぼく。 ひょっとして。 「義理チョコを渡しに来たんですかー? 荘口さん」 彼女はギクッとなって、 「ま、ま、ま、まーな」 という声を発し、恐る恐るといった感じで、包装紙に包まれた義理チョコを見せてくる。 × × × まだ包装は解いていないけど、明らかに中身は、市販のミルクチョコレートだ。 『もらえるだけ、ありがたい……』 包装紙に包まれたままのチョコをしみじみと見ていたら、横からドアが開く音。 荘口さんと入れ替わるように吉

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    s-johnny
    s-johnny 2024/02/14
  • 【愛の◯◯】暗い部屋で、独りで、◯◯ - 音楽と本、それからそれから……。

    明日はどんな日か? だれでも知っている。 バレンタインデーだ。 というわけで、1日中チョコ作りをしていて、くたびれた。 今はリビングでダラダラしている。 テレビは点(つ)けていない。 夕方のテレビのニュースを真剣に視(み)る余裕なんてあるはずない。 テーブルに置いたスマートフォンを手に取り、 『音楽を聴こうかな』 と思う。 だけどあいにく、ワイヤレスイヤホンは自分の部屋に置いたままだった。 部屋に取りに行かなくちゃ。 だけど、くたびれた腰が重くて、なかなか立ち上がれない……。 グズグズしていたら、利比古くんがリビングに出現した。 「あっ。野生の利比古くんが……現れた」 「なんですかそれ。ポケットモンスター構文ですか」 真向かいのソファに腰を下ろしつつツッコミを入れる利比古くん。 彼に、 「くたびれてるの。くたびれてるから、ポケットモンスター構文になったの。わたしの苦し紛れ」 「くたびれてる

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    s-johnny
    s-johnny 2024/02/13
  • 【愛の◯◯】あすかちゃんが手強くて - 音楽と本、それからそれから……。

    羽田愛さんが『プチ帰省』しているお邸(やしき)に行って、彼女と楽しいひと時を過ごしていた。 「なぎさちゃん。ごめんけど、用事があって外出しないといけないの」 「どうぞどうぞ。いってらっしゃいませ」 ソファから愛さんが立ち上がる。 このタイミングでわたしは、 「愛さん。『いってらっしゃいませ』、なんですけど」 「え?」 「外に出る前にお願いしたいことがあって」 「なにかしら?」 「『おねえさま』って呼んでもいいですか」 「……あーっ」 尊敬する愛さんが可愛く苦笑いして、 「ご自由に」 と言うもんだから、わたしは早くも、 「おねえさま!! 戻って来られるのを楽しみにしておりますわ」 と、わざとヘンな口調で『おねえさま』たる愛さんに叫ぶ。 愛さんが出ていき、リビングは一旦わたしだけの空間に。 少ししてから、この邸(いえ)の主(あるじ)の戸部明日美子さんがにゅ~っ、と姿を現して、 「愛ちゃんもう出

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    s-johnny
    s-johnny 2024/02/12
  • 【愛の◯◯】20代に足を踏み入れた女子の笑顔 - 音楽と本、それからそれから……。

    「利比古。せっかくの連休なんだし、あんたにお料理を教えてあげたいわ」 「どんな料理を教えるつもりなの? お姉ちゃんは」 「当ててみなさい」 「え。ノーヒントで? そんなムチャな」 利比古の姉たる愛は少し機嫌を損ねて、 「悪かったわねえノーヒントで」 と不満をこぼし、 「わたしはね、スープの作りかたを教えたいの」 「お姉ちゃん、スープなんて無数にあるでしょ。具体的なスープの名前を言ってよ」 「んー」 先程の不機嫌さが嘘のように楽しげな顔になって、いろいろと面倒くさい利比古の姉ちゃんは、 「具体的には考えてなかった。この場で決めてもいいかしら?」 × × × 「なんで昼間っからグッタリなの? 利比古くん」 「あすかさん」 愛と入れ替わりにやって来たあすかは、愛と同じく利比古の真向かいのソファに座っている。 利比古はやや目線を上げつつ、 「姉に振り回されてしまったので……」 「それは是非とも詳し

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    s-johnny
    s-johnny 2024/02/11
  • 【愛の◯◯】二度寝なんかしないで、急ぎなさい - 音楽と本、それからそれから……。

    朝ごはんをべたあとで自分の部屋に戻り、某小説家が書いたエッセイを読む。 を読み終えて、机上(きじょう)の置き時計を見る。もうすぐ9時になろうとしている。 『ひょっとして』とわたしは思った。 『アツマくんのことだから……』 わたしの部屋を出て、アツマくんの部屋の前に立つ。 ノックしてもムダかもしれない。 彼、二度寝で眠りこけてそう。 × × × ノック無しで部屋に踏み込んでいった。 案の定である。 グーグー寝息を立てつつ二度寝を堪能している。 「だらしないわねっ」 彼には聞こえないけれども、見下ろしてグチる。 「お邸(やしき)に戻ってきたから羽を休めたいのは分かるわ。だけどもう9時を過ぎてるのよ?」 掛け布団に手を伸ばし、一気に剥ぎ取る。 まだ目覚めてくれない。 ビンタでもしようかしら。 ……いいえ。もっと穏便な起こしかたがあるはずだわ。 × × × 「どういう起こしかただ、おまえ。自分

    【愛の◯◯】二度寝なんかしないで、急ぎなさい - 音楽と本、それからそれから……。
    s-johnny
    s-johnny 2024/02/10