The genetics of happiness, transporter of delight, The Economist, 2011/10/15 人の個性は白紙であり、経験だけででそれが決まるという発想は、二十世紀後半のほとんどの期間で主流となっていた。だが過去二十年ほどで、その発想は否定されつつある。一卵性双生児と二卵性双生児を比べる調査で、行動のかなりの部分が遺伝に左右されることが示されたし、DNA分析でその原因となる遺伝子もある程度わかった。この両方向からの研究で、幸福もかなり遺伝する率が高いことが示唆されている。 人間ならだれでも知っているように、人が幸福か不幸かを決める要因は様々だ。外部状況は重要だ。仕事のある人のほうが失業者よりは幸福だし、豊かな人のほうが貧しい人より幸福だ。年齢も効く。若者と高齢者は中年より幸福だ。でも最大の決定要因は性格だ。外向的な人は内向的な人より
職場などのリアルな場はもちろん、ブログやツイッターといったオンラインの場でも、自分の考え方や意見の異なる人々と議論になり、互いに相譲らず...という状況になったことはありませんか? そんなとき、自分の考え方に反するコメントや賛成できない意見ほど、頭の中にずっと残ってしまうもの。これはなぜなのでしょうか? Image by XKCD 作家のDavid McRaney氏によると、ヒトは、自分の考え方に対して挑戦的なものが現れると、より強く自分の考え方を信じようとする傾向にあるとか。これは、否定的なものと肯定的なもので、情報の扱い方が異なるからだと考えられています。 肯定的なものは、気づかないうちにすり抜けていくものですが、カチンとくるものは、しばらく頭の中に居座り続けます。この「バックファイア効果」が起こる原因としては、自分にとって受け入れられる情報よりも、受け入れがたい情報のほうが、長い時間
前の記事 IT業界のエンジニア争奪戦、勝者と敗者を分析 肥満はなぜ「伝染」するのか:実験結果 2011年6月 9日 サイエンス・テクノロジー コメント: トラックバック (0) フィードサイエンス・テクノロジー Jonah Lehrer 画像はWikimedia 数年前、研究者のニコラス・クリスタキスとジェームズ・ファウラーは、肥満に関する驚くべき発見(日本語版過去記事)を行った。肥満は、まるで伝染病のように、人から人へ伝播するというのだ。 彼らはこの伝播について、『フラミンガム心臓研究』(FHS)のデータセットによって実証した。FHSとは、マサチューセッツ州フラミンガムで行われた、心血管疾患の危険因子の多くを明らかにした長期の疫学研究だ。[12,000人以上を対象に、32年にわたって計測を行なった] FHSでは、各参加者の親しい友人、同僚、家族の情報が示されているため、研究者たちはそれを
バカンスなどの旅行で、往きは目的地まですごく時間がかかったのに、帰りは意外とそうでもないと感じた経験、ありませんか? こちらでは、この謎について採り上げてみたいと思います。 Photo remixed from an original by Rebecca Partington. 心理学誌『Journal of Consumer Psychology』に掲載されたある研究では、別の場所に向かうか自宅に戻ってくるかを比較し、ヒトが判断する旅の長さの違いを調べました。 この実験の結果、被験者は自宅に戻ってくるときのほうが短いと判断したといいます。この理由として、ヒトの意識では「馴染みのある場所」のほうが意識的に広く感じるからだと考えられています。つまり、自分にとって「(意識的に)広い」自宅から別の場所に移動するときは、時間がかかるように感じ、帰りは、家が(意識的に)広く見えるため、「家は、もう
子どもの頃は、小さなシールがもらえるとか、黒板に名前が書かれるなんてことだけでも、十分やる気が出ていましたよね。でも、大人になったらそんなものではやる気は出ない! そう思ってはいませんか? 実は、「報酬がたとえ大したものでなくても、大人のモチベーションは上げられる」ということが証明されました。オハイオ州のアスレチック団体によると、大の男がマグカップ一つで激しく争うという実験結果が出ています。 Photo by KOMUnews. そもそも報酬自体の価値というのは、そこまで高い必要はありません。ジョージメイソン大学のある研究者は、「他のチームメンバーにも見える(分かる)報酬というのが、報酬の価値になるのだ」と提唱しています。 どのような実験をしたかというと、ざっくりと説明すれば「人生ゲーム」のようなゲームを4人1組のチームでやり、1勝負終わるごとに勝者にはアイスクリームサンドが、もしくは勝者
前の記事 超小型カメラとマイク内蔵のサングラス(動画) 権力者はなぜ「堕落」するのか:心理学実験 2011年6月 3日 サイエンス・テクノロジー コメント: トラックバック (0) フィードサイエンス・テクノロジー Jonah Lehrer IMFのカーン専務理事が、ホテルの女性従業員に対する性的暴行などの容疑で逮捕されたことを知らせるニュース画面。Image: Gwydion Williams/Flickr 権力者が正しくない行動をするというニュースは大量にある。彼らが、自分より地位が下にある者に対して横暴にふるまい、権力をかさにとった性的行動をとったりすることは、気が重くなることではあるが、驚くことではまったくない。問題は、このようなひどい行ないはなぜ起こるのかということだ。権力はなぜ堕落するのだろう? 心理学者たちによると、権力者の問題のひとつは、他者の状況や感情に対する共感性が低く
前の記事 電気不要、『iPad 2』音声を向上させるクリップ 「使いにくいiPadアプリ」問題点を分析 次の記事 「目」のポスターは効果的:調査結果 2011年5月31日 サイエンス・テクノロジー コメント: トラックバック (0) フィードサイエンス・テクノロジー Mark Brown Image: Flickr/kevindooley 「こちらを見つめる目」の絵を掲示するだけで、人々に行儀よくふるまわせたり、正しい行動をとらせたりする効果があるという研究結果が発表された[発表論文は2010年12月付けの『American journal Evolution and Human Behavior』]。 英国ニューカッスル大学の心理学者たちが、2種類の異なるポスターをレストランに掲示して、客がどのように反応するかを調査した。どちらのポスターにも、ごみは利用者自身がごみ箱に捨てるように求める
前の記事 「デジタル・ダイエット」を勧める新刊 「自由意志への不信」は脳活動に影響:研究結果 2011年5月30日 サイエンス・テクノロジー コメント: トラックバック (0) フィードサイエンス・テクノロジー Brandon Keim Image: Loozrboy/Flickr。サイトトップの画像はWikimedia 人間には自由意志は存在しない、と言われた人の脳は、「自由意志が存在しない」方向での反応が強化されるようだ。 実験の被験者に、自由意志の概念を疑う内容の文章を読ませたところ、自発的運動に関連する脳の活動がたちまち低下したという。自由意志が存在するかどうかという問題は、1000年前から続く哲学的難問だ。この問題に科学の観点から迫る研究活動において、これは1つの実験結果にすぎない。それでもこのデータは、ある興味深い可能性を提起している。 「われわれの実験結果は、自由意志に対する
前の記事 電子は「ほぼ完全な球体」:Nature論文 広告で生まれる「ニセの記憶」:研究結果 2011年5月27日 サイエンス・テクノロジー コメント: トラックバック (0) フィードサイエンス・テクノロジー Jonah Lehrer 画像はWikimedia 筆者はあまり記憶力が良くない。子供のころの誕生パーティーも、どれも同じような記憶しかなく、自分のパーティーの記憶と、いとこの誕生パーティーを取り違えることもしばしばだった。 しかしそんな筆者にも、高校生活では映画のワンシーンのような記憶がある。金曜日の晩にフットボールの試合に出かけていて、North Hollywood Huskiesがまた負けるのを見ているのだ。友人たちと一緒に後ろのほうの席に座りながら、笑ったりうわさ話をしたりしていた。そして、自分の記憶では、われわれはみなコカコーラを細いガラス瓶から飲んでいた。その晩のほかの
前の記事 東北大学が研究、翼を持つ列車『エアロトレイン』 IQと「やる気」の研究 2011年5月13日 サイエンス・テクノロジー コメント: トラックバック (0) フィードサイエンス・テクノロジー Kate Shaw IQテストの妥当性については、ずっと以前から議論が続いている。批判者たちは、IQテストには大量のバイアスがあると主張している。しかし、実際の調査結果に基づいて、IQテストは人生のさまざまな側面(達成された教育レベル、仕事における成功、長生きかどうかなど)を良く予測できるという指摘もある。 そういった相関は、IQテストが何か重要な特質を測定していることを示唆しているだろう。しかし、それは必ずしも知性とは限らないかもしれない。PNASにこのほど掲載された研究は、IQスコアにおいて重要な役割を果たしているのは[知性というよりは]「モチベーション(動機、やる気)」であり、先述したよ
前の記事 GoogleとFordが開発する「スマート・カー」 ワインは味より値段?:「主観的な脳」と快感 2011年5月12日 サイエンス・テクノロジー コメント: トラックバック (0) フィードサイエンス・テクノロジー Jonah Lehrer 画像はWikimedia 心理学者のRichard Wiseman氏は、しばらく前に、ワインについてのシンプルな実験を行なった。地元のスーパーマーケットで、5ドルのボルドーから50ドルのシャンパンまでさまざまなワインを入手し、被験者に、どのワインが一番高いかと思うか、尋ねたのだ(すべての試飲テストは二重盲検法で行なわれ、実験者も被験者も実際の価格については知らなかった。) その結果は、ワイン好きのスノッブたちを怒らせることだろう。600人強の被験者のうち、より高価なワインを選ぶことに成功したのは53%に過ぎなかった。これは偶然レベルの確率だ(赤
前の記事 ネットやTwitter経由で電力使用を管理するシステム 脳は「他者への罰」に快感を覚える:研究結果 2011年5月 9日 サイエンス・テクノロジー コメント: トラックバック (0) フィードサイエンス・テクノロジー Jonah Lehrer [ビン・ラディン容疑者死亡のニュースに喜ぶ群衆。ニューヨークの「グラウンド・ゼロ」(9.11テロ事件の跡地)で撮影された動画] われわれはなぜ、憎悪されていた男が死んだときに、通りに集まって喜ぶのだろうか。その答えは、脳とゲーム理論の関係にあるかもしれない。 ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)の、Tania Singer氏率いる研究チームは数年前、『囚人のジレンマ』と関係した簡単な実験を行なった。 [囚人のジレンマは、「個々にとって最適な選択」が全体として最適な選択とはならない状況の例としてよく挙げられる問題。古典的なモデルで
前の記事 レーシングカーになった『ニッサン・リーフ』 iOS、「ユーザーの全移動を記録」が判明:地図表示アプリも 次の記事 疲労や「死の意識」で脳が「保守化」:研究結果 2011年4月21日 サイエンス・テクノロジー コメント: トラックバック (0) フィードサイエンス・テクノロジー Jonah Lehrer 米国の裁判官。画像はWikimedia われわれは倫理的・道徳的判断をどのように行なうのだろうか。われわれの判断が事実のみに基づき、合理的に判断しているのならすばらしいのだが、どうもそうではないようだ。 以下、最近のPNASに掲載された論文を紹介するEd Yong氏の文章を見てみよう。 上のグラフは、イスラエルのネゲブにあるベングリオン大学のShai Danziger氏が、同国の刑務所で10カ月間に行なわれた仮釈放審査委員会の審問、計1112回分の結果を基に作成したものだ。 グラフ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く