公益財団法人 母子健康協会 第36回シンポジウム 「乳幼児の育てにくさと対応」 乳幼児における「育てにくさ」 東京慈恵会医科大学名誉教授 前川喜平 先生 (1) 乳幼児期の異常な行動歴 あやしても顔を見たり笑ったりしない。小さな音にも敏感である。大きな音に驚かない。喃語が少ない。人見知りしない。母親がいなくても平気でひとりでいる。親のあと追いをしない。名前を呼んでも声をかけても振り向かない。表情の動きが少ない。イナイイナイバアをしても喜んだり笑ったりしない。抱こうとしても抱かれる姿勢をとらない。視線が合わない。指差しをしない。2歳を過ぎても言葉がほとんど出ないか、二、三語出た後、会話に発展しない。1、2歳ごろまでに出現していた有意味語が消失する。人やテレビの動作のまねをしない。手をひらひらさせたり、指を動かしたりじっと眺めたりしている。周囲にほとんど関心を示さず、ひとり遊びにふけっている。