モスクワからアルゼンチンまで直線距離で1万3000キロ超。地球を3分の1周する大移動となる。侵攻後に直行便が停止されたため、中東やアフリカなどを経由し、丸1日以上をかけた長旅となっている。 妊婦やその夫たちは、なぜアルゼンチンを目指すのだろうか。もちろん理由の一つには、アルゼンチンにビザなしで入国できる点があろう。経済制裁の下のロシアでは、生活に一定程度の不便が生じており、脱出の動機は強い。若い夫にとっては、徴兵の危険も無視できない。 だが、夫婦たちがロシア脱出を図る動機は、それだけではない。移民に寛容なアルゼンチンの制度を利用しようとする思惑があるようだ。 「出生数の3分の1がロシア人」という病院も 昨年来、アルゼンチンの首都・ブエノスアイレスの街角で、妊婦たちの姿が目立つようになった。ブルームバーグは、現在南半球の夏の終わりを迎えている現地から、ある公園での光景をリポートしている。 「