4月29日は、昭和天皇の誕生日である。「みどりの日」を経て、今日では「昭和の日」となっている。 昭和天皇の言葉で、いまもっとも振り返るべきは、間違いなく1946年元旦の詔書、いわゆる「人間宣言」だろう。それは平成、そして令和を読み解く鍵としてなお重要な位置を占めている。代替わりを前に、これを振り返るにしくはない。 「人間宣言」は人間宣言にあらず そもそも「人間宣言」は、人間宣言ではない。これは通称であって詔書の正式な題ではないし、本文にも「人間」という言葉は使われていない。 そのため、この詔書は「新日本建設に関する詔書」と呼ばれることが多い。やや長いので、以下では「人間宣言」を「元旦詔書」と呼ぶこととしたい。 では、「元旦詔書」のなかで「人間宣言」にあたるといわれる箇所を引用しよう。 然れども朕は爾等国民と共に在り、常に利害を同じうし休戚を分たんと欲す。朕と爾等国民との間の紐帯は、終始相互