お待たせしました。お待たせしすぎたかもしれません。若干今更ムードですけれども「天気の子」についてちょっと書きましょう。 新海誠監督の前作「君の名は。」には、公開時に今ひとつノレなかったワタクシですが、こちらは楽しめました。いい作品です。あらゆる意味において、2019年を生きる若者の「今」を切り取ろうとしている。精緻に描き込まれた背景美術しかり、貧しさへの向き合い方しかり。特に後者に関しては、功成り名を遂げた作家があそこまで若者の貧しさ――しかも、彼らにとってはそれが普通の日常であり、「貧しさ」だとは感じていない――の感覚を掬(すく)い上げていることには、感じ入るものがありました。若い作家であれば皮膚感覚で表現できるものでしょうが、もはや新海監督はそうした立場にはない。おそらくは入念なリサーチから来ているものではないでしょうか。 涙腺をグッと刺激されたのが、ラブホテルでの一幕です。最悪の状況
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