『果しなき流れの果に』の発表は1965年。その後1997年、2018年と新装版が発刊されている。いま読んでもまったく古臭さを感じない。レトロな味わいの『夏への扉』などとは対照的な作品だ。 『夏への扉』のように技術的なアイデアやそれを取り巻く社会やドラマを描くと、よくも悪くも時代性が反映されてしまう。対して『果しなき流れの果に』は、時空を超える技術や宇宙論などを描きながらも、人間の存在とか尊厳みたいな普遍的なものを捉えようという試みが伝わってくる。そこが今読んでもしっかり心に響いてくるポイントだ。『星を継ぐもの』や『三体』などの大作にも根底で通じるものがある。ごりごりのハードSFやスペースオペラが多々ある中で、当時は斬新な作風だったかもしれない。 もちろん描写も緻密で臨場感もちゃんとあるが、どちらかと言うと心情や内面的な話がメイン。つまり読んで”感じる”ことでしか味わえないない魅力こそ、アニ